『林文子 すべては「ありがとう」から始まる』岩崎 由美

ダイエーの会長兼CEOに就任し、最初の著書『失礼ながら、その売り方ではモノは売れません』（亜紀書房）がベストセラーとなったた林文子。本書はジャーナリストの岩崎由美が、インタビューを元に彼女について書いたもの。

全編通して感じるのは、大事なことはテクニックとかそういったことではなく、どれだけ相手のことを考え、どれだけ熱心に誠実に行動するか？だという点。とにかく「人と接していると嬉しい」「仕事が好きでたまらない」という思いが良く伝わってくる。加えて女性ならではの長所を挙げながらも、それほど女性ということを強調しすぎていないのもよいのではと思う。現在ダイエーで取り組んでいることも書かれているのもマル。筆者自身のエピソードも多く入っており、林文子その人の言葉だけを読みたいという人には違和感を感じるかもしれないが、それを差し引いても仕事をしている人は男女を問わず、著者の人となりに好感を持つだろうし、その後に仕事に対して前向きな気持ちにさせてくれるのではとも思う。文庫だから単行本で刊行された林文子の前２作よりお手軽かつお買い得感が高い。前２作の購入を躊躇していた人には特にオススメな１冊。

日経ビジネス人文庫