2006年7月3日
『14階段』窪田順生
新潟少女監禁事件が発覚したのは2000年1月。9歳だった少女を拉致し9年少々監禁し続けた男が逮捕されたのは覚えているが、私よりもずっと若い男の犯行だと思い込んでいた。ただ事件そのものに対する知識はそれだけで、細部には全く興味を持たないまま今迄忘れていたが、たまたま店頭で本書を見て、そんな事件もあったなと思い出した。
本書を読んでまず驚いたのが、犯人が私よりも9歳上だったこと。「引きこもり」の男ということで、てっきり自分よりも年下だとばかり思い込んでいた。そもそも、引きこもり自体が1971年生まれの私よりもかなり下の世代にしか見られないものだとばかり思っていた。
ただ周囲にはそんな人間がいなかったからというだけの話なのだが、どうやら私が物心ついたときから引きこもりはあったのかと変なところで感心してしまった。話題になったのが、ここ10年程度なのかもしれない。
本書の内容に戻ると、結局、本人と面談することなく終わっているので不満足。また、内容はともかく、著者のアプローチの仕方や文章が好きになれなかった。雑誌フライデーの元記者のようだが、取材が中途半端な気がする。結局、著者は何を知りたかったのだろうか?
小学館
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.077(2006年07月03日発行)」に掲載されたものです。
文=茂見