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2007年12月3日

『チ-ム・バチスタの栄光(上下巻)』海堂尊

photo-42005年に発表されたこの作品、単行本を経て、早くも文庫化いたしました。『このミステリーがすごい!』大賞、第4回受賞作です。この賞は、出版社の宝島社が毎年主催しているのですが、この賞金もすごい。日本国内の文学賞では最高額の1,200万円。賞金が全てではないですが、参考までに芥川賞は100万円。それと比較すると、やはり破格です。

バチスタとは、拡張型心筋症に対する手術術式の名前です。成功率は60%と言われるこの手術を、20回連続で成功させた東城大学医学部付属病院の心臓手術チーム。しかし、ある時立て続けに3件連続して術中死が発生する。その真相に迫る医療ミステリーです。テーマだけを見れば、『白い巨塔』を連想させます。著者の海堂尊は、現在も現役の勤務医。そのため、記述はとてもリアル。現場の医師の、シリアスなメッセージも込められています。しかし、構えて読む必要は全く無しです。この作品は、ミステリーであり、優れたエンタテイメントです。登場人物の面白さ、語り口の軽快さが絶妙で、難解さを感じさせません。物語中に張り巡らされた、数々の伏線。文庫版は上下巻に分かれていますが、下巻になって初めて出てくる登場人物が、特に個性的。コミカルに笑わせてくれます。

 

宝島社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.111(2007年12月03日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 氏家

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