シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

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2009年9月7日

『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

photo-12年前に日本で公開された映画を、先月シンガポール航空の飛行機の中で観た。それがこの『アヒルと鴨のコインロッカー』。映画にするのは難しいと思っていたが、予想以上によく出来ていた。

物語は、大学に通うために引っ越してきた青年、椎名の目からと、琴美の目から語られる。前者は現在の話で、後者は二年前の話。それが交互に展開する。引越の当日、椎名は、自分の部屋の隣に住む、全身が黒ずくめの青年・河崎に会う。初対面で「シッポサキマルマリが来ただろ?」と問いかけてくるような一風変わった青年。彼は椎名に「一緒に本屋を襲わないか」と提案してくる。琴美の物語は、巷で話題になっているペット殺しの犯人たちを偶然見つけてしまうことから始まる。一緒にいたのは、ブータンからの留学生、ドルジ。

最初は、急に誰かの物語に途中参加したような、訳がわからない部分も多いが、物語自体は軽妙に進んでいく。最後には、バラバラだったジグソーパズルが完成した時のように、全体が細部まできちんと繋がる。5年半ぶりに読み返して、初めて読んだ時と同じように楽しむことが出来た。

 

東京創元社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.152(2009年09月07日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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