2010年2月1日
『人類が消えた世界』アラン・ワイズマン著/鬼澤忍訳
ある日、この地球上から人類が忽然と姿を消したら……そんな事はありえないとは思っても想像するだけで、恐ろしく、そしてその世界を覗いてみたくなるような気がする。今回ご紹介する本書『人類が消えた世界』はそんな世界を描いている。
地球温暖化をはじめ地球の環境問題に関するニュースを聴かない日は無いが、我々人類が環境に与えてきた影響は、人類が無くなる事によりどのように変化していくのか。人類が誕生する前の時代の地球、ニューヨークのマンハッタンにまだ摩天楼が存在せず森で覆われていた時代、世界各地への実地調査、様々な科学資料を駆使し、多角的な側面から人類が消えた後の世界を予測していく。
原始の森に戻るヨーロッパ、オークやブナの森に覆われ野生の動物が歩くマンハッタン、人類が消えた後も残り続けるもの……。
2007年のタイム誌のベストノンフィクションにも選ばれ、世界中でベストセラーとなった本書、昨年、文庫化され、さらに読みやすくなった。是非ご一読を。
早川書房/ISBN:9784150503529
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.161(2010年02月01日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 里見