シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『グラスホッパー』伊坂幸太郎

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2011年4月4日

『グラスホッパー』伊坂幸太郎

photo-73月11日以降、TVや新聞、インターネットの震災関連の報道を目で追ってしまう。また、電話やメール他で知人や友人と連絡をとって現況を聞いたりすることも多く、最近はあまり本を読んでいない。
震災から数日後、好きな作家の一人である伊坂幸太郎が仙台在住であることを思い出し、安否が気になった。不便な生活を強いられてはいるものの無事な様子であることがわかり一安心。
こじつけに近い気もするが、被災地に所縁のある商品を購入することが、間接的に復興の手助けになると知人から言われた。ということで、単行本で持っているにもかかわらず、伊坂幸太郎の本書の文庫版を購入、再読してみた。
怪しげな組織に属する元教師の鈴木、ナイフを使う殺し屋の蝉、自殺を強要する殺し屋の鯨、彼ら三人が「押し屋」と呼ばれる殺し屋を探すストーリー。三者三様の物語があり頻繁に場面が切り替わるが、伊坂幸太郎らしい疾走感がある。久しぶりに読んでみたのだが、非現実的ではあるものの秀逸な娯楽小説で、どんな時でも楽しめると思う。

角川書店/ISBN:9784043849017

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.186(2011年04月04日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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