2011年10月17日
『サービスの裏方たち』野地秩嘉
裏方、表立たないで実質的な仕事をする人。普段は脚光を浴びることはないが、気付かないところで驚くべき技術を持つプロフェッショナルがいる。本書では、そんな人々に脚光を浴びせている。
学習院初等科の伝統を支える給食のおばさんのこだわりには脱帽する。子供の頃の給食を思い出してみても、懐かしいという気持ちこそあれ、格別美味しかったという記憶はない。外注では得られないサービスがそこにはあり、毎日美味しい給食を食べることができる学習院初等科の子供たちを羨ましく思った。
コーンウォ-ルの崖の上に独力で劇場を作り上げた女性がいた。屋根も壁もないとはいえ、たった一人の人間が劇場を作り上げたのだから、驚嘆に値する。
他にも、1964年の第二回日本グランプリでポルシェを抑えたスカイラインの開発者や、銀座の老舗の経営者、普段は目立たない人々の物語。
新潮社/ISBN:9784101362526
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.199(2011年10月17日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見