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2013年6月3日

『大絵画展』望月諒子

photo-6 美術や絵画を扱ったミステリーは数多くあり、昨年、ルソーの絵画をめぐる上質のミステリーで好評を博し、山本周五郎賞を受賞した原田マハの「楽園のカンヴァス」が記憶に新しい。

 今回紹介させていただくのは、ゴッホ作『医師ガジェの肖像』を題材に第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した『大絵画展』。

 本書は日本がバブルに沸いた1990年代、ある日本人がロンドンのオークションで『医師ガシェの肖像』を競り落としたところから始まる。ある理由で借金を背負った男女にその絵画を盗んでほしいという依頼が持ちかけられ……。

 バブル期の日本は途方もない値段で世界の絵画を買い漁っていた。そのような実際の出来事を下地に詐欺や騙し合いが繰り広げられるスリリングなコンゲーム小説となっている。美術に関する薀蓄も随所に埋め込まれた巧みな文章、そしてたたみ掛けるような展開と大掛かりな結末をご堪能いただければと思う。

 

光文社/ISBN:9784334765491

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.235(2013年06月03日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 村山

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