シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPハーバーフロントの新名所、ビボシティーに出かけよう

エリア

2006年12月18日

ハーバーフロントの新名所、ビボシティーに出かけよう

p01

 

ソフトオープンから約2ヶ月、12月1日にグランドオープニングのセレモニーがビボシティーにて盛大に開催された。会場となった屋上のスカイパークの屋外シアターに仮設ステージが設けられ、建築を担当した伊東豊雄氏を初め、各界のVIP、コンサルタント、施工に携わった企業、テナントのパートナーなど会場を一杯に埋め尽くす程の招待客が足を運んだ。セレモニーでは、タマセックホールディング社のチェアマン・S・ダナバラン氏が主賓に招かれ、ビボシティーによる経済効果への期待を述べつつ、そのユニークなコンセプトや建築スタイルなどから、シンガポールでのショッピングの新名所となり、観光の振興にも多いに繋がったと評した。

 

その後に、シンガポールで活躍中の歌手ステファニー・サンのコンサートやセントーサ島とビボシティーの間のハーバーからの打ち上げ花火と続き、訪れたゲストはそれぞれ心地よい潮風に吹かれながらビボシティーならではのイブニングを満喫した。まだ明かりの少ない対岸のセントーサ島をみながら、誘致が決まったホテルやカジノ、ユニバーサルスタジオといった今後のシンガポールの経済を牽引するであろうと期待のかけられている再開発プロジェクトに当たるエリアを指差す姿も目立った。

 

p02この時点で、ビボシティー内の300ある店舗のうち240店舗を越えるテナントが営業を既に開始しており(シンガポールでは、開業時にこの入居率は高い方だという)、平日で平均すると約11万4千人、週末で約18万4千人がビボシティーを訪れる。約2ヶ月で728万人が訪れたというから驚かされる。GAP、アディタスオリジナルストア、スペイントゥードリームといった、シンガポール初上陸となるショップが全体の約20%を占めるその目新しさと、15のスクリーンを持つゴールデンビレッジの映画館などをお目当てに訪れる人が多く、セントーサ島を見渡すレストランも充実しており、一日過ごすにも事欠かないのが魅力だ。

 

特に12月中の土曜日は、深夜までショップ等もオープンする予定なので、ゆっくり食事を楽しんだ後に屋上のパブリックスペースを散歩するカップルなどが増えそうだ。現にシンガポールでは、オープンのパブリックスペース自体が珍しいので、新しいデートスポットになることは間違いない。

 

24ヘクタールの広大なハーバーフロントエリアの再開発を担うのが不動産デベロッパーのメイプルツリー社。ハーバーシティ、ケッペルタワーなどのオフィスビルからビボシティー、総合エンターテイメント施設のセントジェームスパワーステーションまでの敷地内が、みるみる変貌を遂げてきた立役者である。メイプルツリー社でチェアマンを務めるエドモンド・チェン氏が、「ハーバーフロントのマスタープランの中で最もチャレンジングで野心的なプロジェクトがこのビボシティー」というだけあって、そのスケールの大きさと、ショッピングエリアから外れた場所にショッピングモールをつくることはかなり大胆な発想だったようだ。

 

それらのハードルを越えて「ショッピングとライフスタイルのデスティネーションとして、従来のショッピングモールを越えたビボシティーは、構想の段階から、その場所に独自の価値を与え、ショッピングに来る人たちやその子供達など集まる人全てにインスピレーションを与える器でなければならない」という ビボシティーへの氏のこだわりが見事に具現化したといえる。そのこだわりこそ、建築家である伊東氏が賛同し、パブリックアートプロジェクトなどを巻き込んで個性を打ち出す事に成功した。

 

また、商業主義の色濃いシンガポールで、利潤を生むための施設としての配慮も細かくなされている。その一例として、ビボシティーでは、マネジメント側とテナント側が、ウィン・ウィンで利益を上げていけるよう、各テナントの賃貸料は低めに設定されており、年度末の利益から見合ったコミッションをマネジメント側に支払うシステムにしているという。そうすることで、マネジメント側は、賃貸収入に甘んずることなく、ビボシティー全体の収益を上げるための広報活動やメンテナンス等の努力を惜しまないという意思表示をしているのである。

 

p03伊東氏の言葉で、「建築は完成した後も、使う人によって育てられ、作られていくもの」だというのがあった。来年には、ファッション、カルチャー、音楽などのショーや各種フェスティバル、インターナショナルバザールなど目が離せない行事も控えている。新たな総合商業施設としての付加価値をどのように生み出していくのか、ビボシティーの真のキャパシティーを目の当たりにするのはこれからだ。
ビボシティーには現在300近くのショップやレストランがある。そのすべてをここでご紹介することはできないが、その一部をピックアップしてご紹介。

 

シンガポール最大のシネコン
ゴールデン・ビレッジ・ビボシティー

p0511月末から12月初めにかけて開催された2006アジアン・フェスティバル・オブ・ファースト・フィルムの会場になるなど、シンガポール最大のシネコンとして既にビボシティーの名所のひとつとなっているゴールデン・ビレッジ・ビボシティー。

 

2階にある大きなエントランスを入り、左手前方のチケット売り場でチケットを購入。ロビーを抜けてエスカレータまたは階段で各シネマへの入り口がある3階へ上がる。
シネマは全部で15。スタンダードな10のシネマと、ちょっと個性的な5つのシネマがある。
収容人員約600人と最大規模のシネマGVmaxには、横幅22メートル余りの超特大スクリーンが設置されており、迫力のある映像を満喫できる。アクション系の映画など大勢で見て楽しい映画にうってつけ。

 

p04ゴールデン・ビレッジ・ビボシティーの目玉のひとつが、ゴールド・クラスと呼ばれるシネマ。全部で3つあり、飛行機のファーストクラスのようなラグジュアリーな座席が各シネマに24〜48席設置されている。席の前後の間隔もゆったりと広く、贅沢な気分を味わいながらリラックスして映画を楽しむことができる。ゴールド・クラスはチケット・カウンターが通常のシネマとは別に設けられているので、混雑時でもほとんど並ばずにチケットを購入できる。
また、シネマ・ヨーロッパでは、その名のとおりフランスやスペインなどヨーロッパ各国の映画をはじめ、日本、韓国などアジア各国の作品を上映している。メジャー系とは一味違うこれらの映画が好きな方は要チェック。

 

 

 

ちょっと気の利いたアートな小物達
メトロポリタン・ミュージアム・オブ・アート・ストア

ニューヨークにあるメトロポリタン美術館といえば、約5000年前の古代から現代まで、世界中から集められた200万を越えるコレクションが有名。同美術館に所蔵されている絵や彫刻のレプリカをはじめ、一流の芸術家達の有名な作品をあしらったグッズを販売する同美術館のショップは、全米の各都市をはじめ世界の各主要都市にあるが、シンガポールには10年前に進出。ラッフルズシティとサンテックシティ、そしてここビボシティーに3店目をオープンした。

 

p06メトロポリタン・ミュージアム・オブ・アート・ストアで販売されているグッズは、美術品に詳しいキュレーター達がコンセプトの段階から製造までしっかりとチェックしているので、品質はもちろんモチーフとなった作品の再現性も折り紙つき。自分の好きな絵がプリントされたマグカップやノート、カレンダーなどを机の上など自分の身の回りに置いてみるのも悪くない。同美術館のキャラクターとなっているブルーのヒッポも、実は人気グッズのひとつ。

 

同ショップで人気の高いアクセサリー類は、メソポタミアなど古代文明の装飾品をベースに作られたものなど、ユニークかつセンスあふれるものが数多く揃っている。クリスマスを目前にまだプレゼント選びに悩んでいる方は、一度チェックしてみてはいかが。現在2007年版のカタログも配布されている。

 

1 HarbourFront Walk 098585

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.088(2006年12月18日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPハーバーフロントの新名所、ビボシティーに出かけよう