2020年7月13日
痛い尿路結石、その予防法は?
尿路結石とは
尿路結石は、尿中のシュウ酸、カルシウム、リン酸、尿酸などが結晶となり尿の通り道に結石ができる病気です。尿の通り道の中でも、腎臓にできることが多く、それが流れ落ちる際に尿管の狭い所などで引っかかって痛みが出ます。その痛みは「疝(せん)痛発作」とよばれる激痛で、お産を経験することのない男性にとっては耐え難いもののようですが、不幸にも尿路結石は男性に多いようです。「疝痛発作」は嘔気、嘔吐を伴うこともあり、救急で対応することもしばしばあります。
治療法としては、自然に尿道から排出するのを待つことを選ぶ方法と、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)で結石を砕いたり内視鏡的に結石を取り出したりする方法があります。現在では、開腹して結石を取り出すことはほとんどありません。
原因と予防法
さて、このような尿路結石ですが、実は大部分は原因が分かっていません。ただ食生活が大いに関係していることは確かであり、予防するためには食生活の見直しが大切です。以下にその要点を挙げてみました。
十分な量の水分をとる
尿中のミネラルの濃度を下げると、結石ができにくくなります。ただし、コーヒー、紅茶、清涼飲料水、アルコールのとりすぎは逆効果です。麦茶、ほうじ茶、水道水などが適しています。
カルシウムをしっかりとる
尿路結石の中で最も多いのが、シュウ酸によるものです。かつてはカルシウムをとりすぎると尿路結石ができやすくなると考えられていましたが、腸の中でシュウ酸と結合しシュウ酸カルシウムに変化すると、腸から吸収されなくなり尿中のシュウ酸が減り結石ができにくくなります。
脂肪のとりすぎに注意
脂肪をとりすぎると、その一部が腸の中でカルシウムと結合します。そのことでシュウ酸と結合する腸の中のカルシウムが減り、結果的に吸収されるシュウ酸が増えてしまいます。
野菜、青身の魚は少なすぎず多すぎず適度に
野菜に含まれるマグネシウムやクエン酸は結石をできにくくしますが、野菜ばかり食べるとシュウ酸をとりすぎてしまいます。また、青身の魚は適度な量をとれば、結石はできにくくなりますが、いわしなどには尿酸の元になるプリン体などが含まれているので食べすぎには注意しましょう。
塩分、糖分、動物性蛋白質は控えめに
とりすぎると尿中のカルシウムが増加し、結石ができやすくなります。
寝る直前の夜食は厳禁
尿路結石をつくる物質の尿中濃度は、食後数時間で上昇します。就寝中は脱水傾向にあり、ただでさえ尿路結石ができやすいため就寝前の食事は厳禁です。空腹が耐えられない時は、水やお茶をとりましょう。
尿路結石を予防するには、とにかく過食、偏食、不規則な食事をしないことが大切です。
取材協力=日本メディカルケアー 医師・白石 勉
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。