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健康相談Q&A

2020年7月10日

MMRワクチンとは?副作用はある?

麻疹、風疹、おたふくかぜを予防する「MMRワクチン」

MMRワクチンとは

 麻疹(measles)、おたふくかぜ(mumps)、風疹(rubella)の3つの病気を予防するワクチンで病名の頭文字をとってMMRワクチンと呼びます。MMRワクチンは、弱毒の生きたウイルスを接種して軽く罹った状態にして免疫をつける生(なま)ワクチンです。3つのウイルスに有効な薬はなく、ワクチンを接種して病気を予防することが大切です。
 
 日本では麻疹(measles)と風疹(rubella)を予防するMRワクチンしかなく、おたふくかぜのワクチンは別に1回接種します。
 

3つのウイルスの特徴

 麻疹(はしか、measles):風邪症状の後、高熱とともに発疹が全身に出現し、免疫抑制状態が生じるため肺炎、脳炎などを併発する危険があり、その場合障害を残したり、死亡する例もある。
 
 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、mumps):耳下腺の腫脹以外にも睾丸や卵巣でウイルスが増殖することがある。合併症として無菌性髄膜炎、難聴や膵炎などを起こすことがある。
 
 風疹(3日ばしか、rubella):風邪症状に始まり、発疹、発熱、リンパ節腫脹が見られる。3日でなおるので「3日ばしか」とも呼ばれる。妊娠初期に風疹に感染すると心奇形、難聴、白内障などを合併する先天性風疹症候群児が生まれる可能性がある。

 

MMRワクチンはいつ受けるべき?

 シンガポールでは2008年からMMRワクチンを1歳3ヵ月以降に1回目、小学校1年時に2回目を接種します(2007年までは小学校6年時に2回目を打っていました)。
 
 日本は2006年から麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種に変更しました。1回目は1歳の1年間に、2回目は小学校入学前の1年間(年長児)です。また、1回しかMRワクチンを受けていない小学生以上の児童に対する救済措置として2008年度から5年間かけて中学校1年、高校3年の時にMRワクチンを無料で接種します。それ以外の時期にMRワクチンを受ける場合は任意接種となります。

 

なぜMMRワクチンを2回接種するの?

 MMRワクチン1回だけの接種では、麻疹や風疹の流行がなくなると次第に免疫が低下してしまい、免疫が発病阻止レベル以下になれば感染して発病する危険があります。世界の多くの国ではMMRワクチンの2回接種で麻疹や風疹の流行を封じ込めています。

 

 麻疹や風疹の免疫が残っている場合にMMRワクチンを再度接種すると、低下していた免疫を増強する(ブースター)効果があります。十分な免疫がある場合にワクチンを接種しても、増強効果は乏しいですが体への悪影響はありません。

 

 日本も数年前に10~20代を中心に麻疹が流行しましたが感染者の中には麻疹ワクチンを1回接種したことのある人もいました。現在では教育実習や海外への留学時に麻疹ワクチンの2回接種の証明を要求されるケースも多くなっています。

 

MMRワクチンの副反応はある?

 MMRワクチン接種で起こる主な副反応には発熱や発疹があります。発熱は体内での麻疹ワクチンウイルスの増殖する期間(接種5~12日後)に出現することが多いですが、高熱になる例は少なく、1~3日で解熱します。発熱に対してはparacetamol(アセトアミノフェン)などの解熱薬を使って構いません。
 
 けいれんの頻度は高くはなりませんが、過去に熱性けいれんを起こした方は、いつもの熱が出た時と同じ対応をすれば十分です。
 
 昔の麻疹ワクチンによる重いアレルギー症状は、多くはゼラチンのアレルギーが原因とわかり現在のワクチンにはゼラチンは使われていません。またMMRワクチンは鶏卵由来の成分は極めて微量であり、卵アレルギーがあるためにMMRワクチンを中止する必要はありません。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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