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健康相談Q&A

2020年7月8日

逆流性食道炎とは?原因と治療法

逆流性食道炎の症状

 食べた物は口から食道、食道から胃と流れていくのが普通ですが、食道から胃への流れが逆流することで逆流性食道炎は起きます。主な症状としては、胸やけ、呑酸(どんさん:すっぱいものが口まで上がってくる)、のどの痛み、嚥下障害(のどが詰まった感じがあり、食べ物が飲み込みにくい)、げっぷ、咳などがあります。時には逆流した胃液が気道(空気の通り道)の方へ流れ込むことによって、気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎を引き起こすこともあります。
 
 また自覚症状がなくても、逆流性食道炎がバレット食道の原因になることがあります。バレット食道とは、食道の粘膜が胃の粘膜に似た状態になることで、そこから癌(がん)が発生することがあります。日本人は欧米人に比べバレット食道は少ないのですが、最近増えてきているとの報告もあります。そのようなことから自覚症状がなくても治療することは大切で、できれば定期的に内視鏡検査を受けられることをお勧めします。
 

原因

 逆流性食道炎の原因ですが以下のようなものが考えられます。

食習慣

 食べ過ぎ、早食い、就寝直前の食事はダメです。揚げ物や脂こいもの、熱いもの、辛いもの、玉ねぎ、ニンニク、トマト、かぼちゃ、さつまいも、チョコレート、柑橘類、コーヒー、濃い緑茶、アルコール、炭酸飲料等の刺激の強いものや胃酸の分泌が多くなるものの摂り過ぎは逆流性食道炎の原因になります。

消化管の機能の低下

 食道裂孔ヘルニアがあると食道と胃のつなぎ目のしまりがゆるくなり、胃液が逆流しやすくなります。また胃炎、胃潰瘍などがあると食べ物を運ぶ動きが悪くなり、これらも胃液を逆流させやすくします。

腹圧の上昇

 背中の曲がり、肥満などがあると胃が圧迫され腹圧が上がり、胃液が逆流しやすくなります。お腹をしめつける、重いものを持つ、前かがみになる、排便時に力むといった行為も腹圧を上げ、胃液の逆流の原因になります。

姿勢

 重力により胃液は移動します。食後すぐに横になることや、猫背の姿勢は胃液が逆流しやすくなります。

喫煙

 喫煙は食道粘膜を損傷し逆流性食道炎の原因になります。

ストレス

 ストレスがあると胃酸が増加し消化管の動きが悪くなり、胃液が逆流しやすくなります。

薬の副作用

 降圧剤(カルシウム拮抗剤)、喘息治療薬(テオフィリン)、テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン)などの副作用が問題になることがあります。

 

治療法

 逆流性食道炎の治療法は原因を取り除くことが基本です。特に生活習慣を改善することが大切です。逆流性食道炎の原因となる食事を減らし、食べ過ぎないよう、ゆっくり食べましょう。唾液は弱アルカリ性で胃酸を中和してくれます。良く噛むことで唾液が良く出て、症状を和らげてくれます。食後3時間は横にならないようにし、寝るときは頭を高くし体の右を下にすると良いでしょう。また、肥満を解消し、ベルトやボディースーツで締め付けすぎないようにしましょう。
 
 薬物療法としては、胃酸の分泌を抑える薬や、胃の動きを良くする薬を服用します。これらの治療法で改善が見られない場合や、食道裂孔ヘルニアがひどい場合は手術も考慮されます。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・白石 勉

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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