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健康相談Q&A

2020年6月4日

Ⅱ型糖尿病と診断されたら…日常生活で注意すべきこと

 糖尿病により血糖が高い状態が続くと、目の網膜や腎臓などの細く小さな血管が障害されたり、脳や心臓などの太い血管の動脈硬化が進行します。その結果、全身に下記のような細小血管合併症が生じます。
 
 ・神経障害:手足の指先がしびれ、痛くなる。
 ・網膜症:視力低下から失明になる危険もある。※眼底検査を毎年受けましょう。
 ・腎症:蛋白尿が増えて腎不全から透析療法が必要になることもある。※検尿を定期的に受けましょう。
 
 糖尿病患者は、血糖、血圧、脂質を良好な状態に維持して、細小血管合併症や動脈硬化性疾患(虚血性心疾患、脳血管障害など)の発症や悪化を防ぐことが大切です。1~2ヵ月間の平均血糖値を反映する指標であるHbA1cが増加するにつれて、これらの合併症の危険も増加します。HbA1c(国際標準値)8.4%以上(HbA1c(JDS値)8.0%以上)は血糖コントロールが悪い状態です。合併症の発症や悪化を防ぐためにはHbA1c(国際標準値)7.0%未満を目指しましょう。
 

食事について

 重い合併症がなければ糖尿病があっても何でも食べられますが、限度量を守って食べることが大切です。限度量は1日当たりのエネルギー量(kcal)で表され、通常、男性では1400~1800kcal、女性では1200~1600kcalの範囲にあります。糖質、脂質、タンパク質、ビタミン・ミネラルといった4つの栄養素と食物繊維をバランスよく食べましょう。
 
 糖質は日常活動のエネルギー源になる栄養素なので、糖尿病の人も適正エネルギー量の5~6割は糖質で摂取するようにしましょう。また油っこい物、甘いお菓子やジュースなどは避けましょう。
 
 食物繊維には血糖やコレステロールの増加を抑える効果があるので、1日20~25gを目標にたくさん食べましょう。海藻やキノコ類、野菜は低カロリーで食物繊維が豊富です。1日300gの野菜を食べると10g程度の食物繊維を摂取できるので、1回の食事で100g以上の野菜を食べるようにしましょう。
 

血圧について

 糖尿病患者の血圧の目標値は130/80mmHg未満と一般の人より低く、血圧が140/90mmHg以上の場合は生活習慣の改善と同時に降圧薬による治療が必要です。糖尿病で血圧が高い人は塩分を1日6g未満に制限し、血圧が高くない人も塩分は1日10g以下にしましょう。
 

脂質について

 糖尿病に脂質異常症が加わると動脈硬化が進行し心血管疾患の危険性が高まるので、コレステロールの摂取は1日300㎎以下にしましょう。脂質の目標値は狭心症などの冠動脈疾患の有無で異なり、生活習慣や血糖値が改善しても脂質の目標値が達成できない場合は内服薬による治療が必要です。
 
〈脂質管理目標〉
 LDLコレステロール(日本):120(mg/dl)以下(冠動脈疾患なし)、100(mg/dl)以下(冠動脈疾患あり)
 LDLコレステロール(米国、シンガポール):100(mg/dl)以下(冠動脈疾患なし)、70(mg/dl)以下(冠動脈疾患あり)
 HDLコレステロール:40(mg/dl)以上
 中性脂肪:150(mg/dl)以下

取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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