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健康相談Q&A

2020年5月29日

風疹とは?成人でもワクチンを接種すべき?

風疹とは

 風疹(Rubella)は日本では「3日はしか」とも呼ばれ、風疹ウイルスが感染者の咳などから感染すると、2~3週間の潜伏期間の後、発症します。主な症状として、発熱、発疹(顔から体幹、手足に広がる)、耳の後ろや後頭部のリンパ節腫脹、結膜炎、関節痛があります。小児では3日程度で治る病気ですが、成人では高熱や関節痛がひどくて1週間以上寝込むこともあります。また合併症として血小板が減少して紫斑(皮下出血)が現れたり、脳炎を発症することがあり、入院加療が必要なこともあります。確定診断は血液検査で風疹の抗体を調べます。風疹ウイルスに有効な薬はなく、風疹ワクチンを接種して予防することが大切です。
 

先天性風疹症候群

 妊娠中の女性が妊娠初期(妊娠20週まで)に風疹にかかると、お腹の赤ちゃんが風疹ウイルスに感染して、難聴や先天性心疾患、白内障などの眼疾患、精神や身体の発達に遅れが生じるなどの様々な臓器に障害が生じる「先天性風疹症候群」になる危険があります。
 
 日本では風疹流行の影響で2012年10月から10人以上の先天性風疹症候群の患者が報告されています。妊娠中の女性(特に風疹の抗体価が低い人)が流行地域に行く場合は、できるだけ人混みを避けましょう。家族から妊婦への風疹感染を防ぐために、妊婦の家族で風疹ワクチン未接種の方はワクチンを受けましょう。
 

日本の風疹の流行

 2012年後半より日本では首都圏や近畿地方を中心に風疹が流行しており、今年だけですでに患者が1万人を超えています。今年の風疹患者の約4分の3は男性で、男性患者の内20代~40代が80%以上を占めます。また女性患者の70%は10代後半から30代です。日本の調査では、20~40代の男性の約15%さらに30代後半の男性に限って言うと27%は風疹の抗体を持っておらず、20~40代の女性の15%は風疹の抗体がないか、感染予防には不十分な抗体価でした。特に1962年から1979年生まれの男性(現在34歳~51歳)は、女子中学生のみ風疹ワクチン接種が行われ、風疹ワクチンを1回も受けていない世代なので今も風疹にかかりやすい状態です。

 

風疹の予防法

 成人の方でも、予防のために風疹ワクチンを接種することができます。今までに風疹にかかったことがなく風疹ワクチンを受けたことがない人は、自分や周りの妊婦や赤ちゃんを風疹から守るために予防接種を受けましょう。
 
 日本で受ける場合は、麻疹風疹混合(MR)ワクチンの接種を勧めています。現在日本では1歳と年長児の時にMRワクチンを定期接種します。シンガポールでは麻疹・おたふく風邪・風疹混合(MMR)ワクチンがあり、日本に行く1ヵ月前までに接種することをお勧めします。ちなみにシンガポールでは、1歳の間にMMRワクチンを2回接種します。
 
 風疹ワクチンを子供のころに1回受けても成人になって風疹の抗体価が低下している人もいます。今までに風疹ワクチンを接種した人も、再度接種すると風疹の免疫が強化される(ブースター効果)ので、特に妊娠を希望される女性は風疹ワクチンの2回目の接種をお勧めします。
 
 ただし、風疹ワクチンは弱毒の生きた風疹ウイルスを含むため、妊娠中の女性は風疹ワクチンを接種できませんし、女性はワクチン接種後3ヵ月(日本は2ヵ月)間は避妊する必要があります。今まで風疹ワクチンを妊娠中に接種したことによる先天性風疹症候群の報告はありませんが、可能性が否定されたわけではないので注意が必要です。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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