2020年5月20日
血圧を下げる薬は一生内服し続けなければならない?
降圧剤は一生飲み続けなければならないのか
高血圧は動脈を傷つけ、心臓に負担をかけ、血管や心臓の病気を引き起こします。高血圧が指摘された方は、まずは生活習慣の改善により血圧が下がるよう努力して下さい。軽度の高血圧の方は、生活習慣の改善だけで治療は可能です。しかし、高血圧の発症には、遺伝因子が約6割、環境因子が約4割関与しているという報告もあり、努力をしても降圧剤(血圧を下げる薬)を内服し続けなければならない方がおられるのも事実です。また生活習慣の改善によって血圧が下がり降圧剤の内服を中止できても、引き続き生活習慣に気を配り、医療機関での経過観察をお勧めします。
高血圧を防ぐための生活習慣改善ポイント
減塩
日本人の食塩摂取量は1日平均約13gですが、高血圧の方は1日6g程度に抑えましょう。おいしく食べて減塩をするには、こしょう、七味など香辛料やしょうが、ねぎなど薬味を上手に使い、ダシをきかせるなどの工夫が大切です。1日あたり1gの減塩で、血圧は0.5~1mmHg下がります。
減量
BMI25以上の方は、減量しましょう。1kgの減量で1~1.5mmHg血圧は下がります。早食いは避け、一口食べる毎に30回は噛むようにしましょう。デザートには、高脂肪の洋菓子を控え、果物か和菓子を少量摂るようにしましょう。また、食後の早歩きも効果的です。
魚(魚脂)の積極的摂取
特にイワシ、アジ、サンマ、サバなどの青背魚に含まれる魚脂には、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸が多く含まれています。これら魚脂には、血液をサラサラにする効果があり、特にEPAには血栓を溶かし血管を拡げる働きがあります。
運動
軽度の高血圧で、血管や心臓に病気のない方は、運動療法も効果的です。手足の大きな筋肉を繰り返し伸び縮みさせる全身運動が、血圧を下げるのに有効。歩行、ジョギング、サイクリング、水泳などがお勧めです。
節酒
飲酒は適量ならば、むしろ血管、心臓などの病気に良い影響があるとの報告もありますが、飲酒量が増えるほど高血圧になりやすいことがわかっています。毎日飲酒する人は、禁酒で血圧が下がることが確認されています。エタノール換算で30ml/日以下、ビールなら500ml、日本酒なら1合、ウイスキーならダブル1杯までの飲酒に抑えましょう。
野菜、果物などでカリウム摂取
野菜、果物、豆およびイモ類にはカリウムが多く含まれています。カリウムは、多く摂ると血圧を下げる働きがあります。ただし、腎臓の悪い人はカリウムを取りすぎると良くありません。
コレステロール、飽和脂肪酸の摂取制限
コレステロール、飽和脂肪酸(ラードやバターなど、肉類・乳製品の脂肪に多く含まれる)の摂取制限は、それ自体には降圧効果はありませんが、動脈硬化症の予防には必須です。高血圧に動脈硬化が合併すると心筋梗塞などの致命的な疾患を引き起こしやすくなります。低脂肪、低コレステロールの食事を心がけましょう。
禁煙
喫煙により、一時的に血圧が上がりますが、長期的に血圧を上昇させる働きは確認されていません。しかし喫煙は血管や心臓の病気の危険因子となるので、禁煙は必須です。
高血圧は自覚症状がないことが多く、突然致命的な合併症を引き起こすことがあり、サイレントキラーとも呼ばれています。高血圧を指摘されたら、まずは医療機関を受診しましょう。
取材協力=日本メディカルケアー 医師・白石 勉
本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。