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健康相談Q&A

2020年5月13日

健診でコレステロールが高いと言われた…どのような点に注意すべき?

 コレステロールは体内の脂質の一種で、細胞の膜や各種ホルモンなどの材料になる、人体にとって必要な物質ですが、食生活や体質などの影響で血液中のコレステロールの量に異常が生じると、血管の壁にコレステロールが入り込んで溜まる「動脈硬化」を起こしやすくなります。
 

脂質の種類

 LDLコレステロール:血液中に増えると血管壁に入り込み動脈硬化を進める。「悪玉(bad)コレステロール」と呼ばれる。
 
 HDLコレステロール:血管壁に溜まったコレステロールを回収する。「善玉(good)コレステロール」と呼ばれる。
 
 中性脂肪(triglyceride):食べ過ぎや運動不足などによって血液中に増える脂質で、HDLコレステロールを減らして動脈硬化を促進させる。
 
 LDLコレステロールや中性脂肪が多すぎたり、HDLコレステロールが少なすぎる状態が脂質異常症で、放っておくと動脈硬化を進行させて狭心症や心筋梗塞などの心臓の冠動脈疾患や脳梗塞を引き起こす危険があります。
 
 冠動脈疾患の危険因子は脂質異常症以外にも喫煙、「高血圧、糖尿病、慢性腎臓病」などの病気、年齢(男性45歳、女性55歳以上)、性別(男性)があります。危険因子が多くなるほど冠動脈疾患の発症する確率が高くなるので、1つでも危険因子を減らして冠動脈疾患を予防することが重要です。
 

コレステロールや中性脂肪の目標値(日本)

 ・中性脂肪:150mg/dL未満
 ・HDLコレステロール:40mg/dL以上
 ・LDLコレステロールは危険因子の数や種類によって目標値が異なります。

LDLコレステロールの目標値

 ①すでに冠動脈疾患を起こしたことがある人:100mg/dL未満
 ②上記以外で糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞、末梢動脈疾患(脚の動脈硬化など)のいずれかがある人:120mg/dL未満
 ①・②以外で喫煙や高血圧など他の危険因子がある人:120~160mg/dL未満(危険因子の種類や数に応じて)
 

女性とコレステロール

 冠動脈疾患の発症率には男女差があり、一般的に40歳代までの女性は女性ホルモンの影響でLDLコレステロールの値が男性よりも低いため、心筋梗塞などを起こす確率も少ないです。ところが50歳以上の女性は閉経の影響でLDLコレステロール値が徐々に増加していくため、心筋梗塞のリスクも男性ほどではありませんが徐々に増加します。中高年の女性も食事や運動などの生活習慣の改善を心がけることが大事です。
 

家族性高コレステロール血症

 脂質異常症の中には、生活習慣病が関係して発症するタイプの他に、遺伝が関係して発症するタイプもあり、その1つが家族性高コレステロール血症です。家族性高コレステロール血症は日本では約500人に1人の割合で存在し、子供のころからLDLコレステロール値の高い状態が続くため動脈硬化が非常に早く進み、若くして心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患を起こしやすくなります。
 
 家族性高コレステロール血症の人のLDLコレステロールの目標値は100mg/dLです。目標値まで下げるためには食事や運動などの生活習慣の改善を行いつつ、LDLコレステロール値を低下させるスタチンなどの薬を内服する必要があります。

取材協力=日本メディカルケアー 医師・吉國 晋

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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