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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2019年10月25日

外国人就業者数と住宅家賃相場

 住宅家賃相場は、特に管理職・高度技術職のためのエンプロイメント・パス(EP)の総数と相関関係があります。
 
● 外国人就労者数推移
 2011年以降、外国人人口増の抑制が政治課題となり、本年6月までEP保有者数は18万人台後半で、実質的な上限とみられます。年末から2020年初めには当地議会の解散·総選挙の実施も予想され、争点の一つはシンガポール人の雇用促進と管理職登用と見られるため、外国人がその妨げにならぬようにとの配慮は明らかです。
 

注記:
1. 数値は四捨五入しているため、合計が合致しない場合がある。
2. 「その他のワークパス」にはLOC(Letter of Consent)およびTWP(トレーニング・ワークパーミット)が含まれる。
2014年3月以降TEP(トレーニング・エンプロイメントパス)は「その他のワークパス」に含められた。

 

● 民間住宅賃貸市況推移
 民間住宅の主たる借主であるEP保有者数が抑制されている結果、住宅賃貸料も概して横ばいであることが読み取れます。
 

 

● 今後の見通し(2019年4Q~2020年3Q)
 米中貿易戦争にともなう世界景気の迷走から、外国人駐在員数を削減する外資系企業も多く、先行きも、民間住宅賃貸需要は横ばいでしょう。ただし、この間、老朽化物件の再開発のための取り壊しが加速しており、供給不足によって空室が大変少なく、家賃相場は概して強含み横ばい、ないしはジリ高となりそうです。ただし、2021年以降は、再開発物件の竣工ラッシュから、家賃は下降に転じるでしょう。

(写真左より)取壊し工事が始まったパール·バンク(Pearl Bank)、ダニアン·ガーデン

 

文=木村登志郎 (パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

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