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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2019年4月23日

今年からシンガポールに住む方へ、住まいの留意点

 この春、シンガポールへ新たに赴任された方も多いのではないでしょうか。日本とはいろいろ異なる熱帯の住宅事情。クールに対処しましょう。

 

●熱帯の島国ならではの厳しい住宅環境

 通年高温多湿、太陽の強い熱射や激しい雷雨(スコール)、さらには、塩害などで、日本のマンションと比べ体感で、劣化ペースは倍。

 

●入居後1ヵ月の保証期間を見落とし無く

 一般的な賃貸契約では、入居後1ヵ月間の修理は、初期不良として全額家主負担となっていますが、これを見逃すと、借手負担が生じます。「一回も使用しなかったので、気づかなかった」と退去時に主張しても免責されないので、キッチリ申告・対処しましょう。

 

エアコンからの水漏れ
 常夏のシンガポールではエアコンは必需品。直下に排水する日本とは異なり、配水管が緩い傾斜で離れた場所に繋がっているため、構造的に詰まりやすくなっています。エアコンからの水漏れは配水管途中で起こる事も多く、水が透明で冷たいのが特徴です。賃貸契約上、3ヵ月に一度の定期点検を借主に義務付けられていることが一般的です。
 
電池交換
 気温が高いこともあり、液漏れは日常茶飯事。玄関のオートロック、空調器のリモコンなどの電池は6ヵ月ごとに交換しましょう。オートロックが全損すると、交換費用がS$1,000近くかかります。
 
天井や壁からの漏水
 上水管(銅製)や電気温水器(鉄製)の腐食で漏れる場合、常時水圧が掛かっているので、一定ペースで漏れ続けるのが特徴で水はきれいで無臭。上階や外壁からの漏れや浸み込みは、水が透明ではなく、臭いがする場合も多いようです。外壁の樹脂塗装も、灼熱の太陽に焼かれ、スコールに打たれるため、小さなひび割れからでも雨水が浸入し、フローリングなどの腐食被害にもつながります。
 
ドアの反り
 ドアの内外の湿度差で「反り」が発生してドアが閉まりにくくなります。
 
水周り器具の故障(蛇口など)
 蛇口などからの水漏れを放置しておくと、流し台の中を浸食・腐食させてしまいます。トイレの水が止まらない、あふれる、なども部品の劣化が原因です。
 
ブレーカーが落ちる
 パニックになってはいけません。ブレーカーが正常に働いて、雷や機器故障からお住まいを守っています。
 
照明器具の不具合
 電圧が230ボルトと高いので、概して電球の寿命は短くなります。また、気温が高い為、照明器具内部にこもる熱で部品の劣化も早いようです。
 
電化製品(洗濯機、乾燥機、オーブン)
 当地では、横入れタイプの洋式洗濯機が一般的です。生地を傷めにくく、また、節水性能が高いのが特長。弱点は、無理して衣類を詰め込むと、回転軸が壊れること。特に洗濯・乾燥一体型は弱いようです。容量を守って使いましょう。洗剤も、泡の出が多いタイプは使えません。また、欧米人の必需品であるオーブンは、まったく使わないとヒーター部分が壊れてしまい、退去時に高額のクレームにつながります。
 
虫・カビ
 当地はシロアリも少なくないので、それらしきものを見つけたら直ちに家主に報告しないと、放置責任を問われます。シロアリ被害は、急速に進行するため、被害額も高額になります。

文=木村登志郎 (パシフィック不動産株式会社CEO、シンガポール宅建士)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.344(2019年4月1日発行)」に掲載されたものです。

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