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ドクター・グリーンのワンポイント医療情報

2017年10月31日

ジフテリア感染症の予防接種について

2017年8月4日、シンガポール在住の21歳男性がジフテリア感染症で死亡したという報道がありました。7月30日から発熱と首の腫れがあり、入院して3日後の8月4日に亡くなったとのことです。バングラデシュ出身で工事現場の労働者だった男性は、発症前に海外渡航歴がないことから、シンガポールで罹患したと考えられています。

 

ジフテリアはジフテリア菌による感染症で、喉や鼻などから感染します。ジフテリア菌の恐ろしい特徴は、産生された毒素により昏睡や心筋炎などの全身症状が起こると死亡率が高くなることです。致命率は5~10%ともいわれています。

 

ジフテリアは予防接種で防げる病気です。1948年にジフテリアワクチンの定期接種が開始された日本では、罹患数、死亡数が激減し、現在ではジフテリア患者を診察したことがない医療従事者も多くいるほどです。日本では3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)の予防接種を生後3か月以降から3回+追加1回、11~12歳でさらに1回接種しています。

 

シンガポールではジフテリアの予防接種は義務とされており、必ず打たなくてはいけません。2歳のジフテリア予防接種率は96~98%と高率です。5種混合(3種+ポリオ+インフルエンザ菌)ワクチンなどが用いられています。

 

3種混合での11~12歳の追加接種は忘れやすいので、これを機会にお子さんの予防接種歴をご確認ください。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.327(2017年11月1日発行)」に掲載されたものです。

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