シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『さようなら、オレンジ』岩城けい著

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2017年3月6日

『さようなら、オレンジ』岩城けい著

319web_Book_Sayonara主人公は、戦火に追われて難民としてオーストラリアの地方都市に移住したアフリカ人女性・サリマと、夫の仕事の都合で移住した日本人の主婦・ハリネズミ。この二人が生きるために言語や母国と違う環境と格闘していきます。圧巻は、母語の読み書きすらままならなかったサリマがついに自分を英語で表現する機会と言葉を見つける場面。小説の都合上、表記は日本語になっているのですが、シンプルな言葉は胸に響きました。
レベルは違いますが、母国語ではない言語で自分を表現する難しさは身にしみるものがあり、一気に物語に引き込まれました。海外に住んで苦労した経験がある方に、ご一読頂きたい一冊です。

筑摩書房
ISBN:9784480432995

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.319(2017年3月6日発行)」に掲載されたものです。
文=シドニー紀伊國屋書店河合

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