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2013年12月2日

【第3回】ローリスクで資産を形成していくために必要な考え方とは?〈複利編〉

「複利」ローリスクで資産を形成していくために必要な考え方

第2回のコラムでは、“資産運用を行うために、まず何から始めたらよいのか?”という問いから始まり、「正しい資産運用を行うための4つのステップについて具体的にお話をさせていただきました。

「人生設計」・「アセットアロケーション」・「銘柄選択」・「投資タイミング」という4つのステップが、正しい資産運用を行う上で基本となる考え方でしたね。

そして、その次の段階として、それぞれのステップに必要な資産運用方法・知識・情報を得ていくことが必要になってきます。

今回は、ローリスクで資産を形成していくために必要な考え方の一つである、「複利」についてお話していきたいと思います。

「単利」と「複利」

銀行に預金すると”利息”という形で利益が得られることはみなさんご存知だと思いますが、株式、債券、投資信託などで運用をする場合も、”利息”(または”配当”)という形で利益を得ることができます。

そして、その利息のつき方には、2つの種類があります。

それが、「単利」と「複利」です。

“元本だけに利息がつくもの”を「単利」と言います。それに対して、“元本とそれについた利息にまた新しい利息がついていくもの”を「複利」といいます。利息が利息を増やしていく、というのが複利の仕組みということになります。

次に、例えば、元本100万円を年利10%で運用することを考えてみましょう。

  • 単利:10万円ずつ増える
  • 複利:10%ずつ増える

そうすると、以下のような結果になります。

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「単利」の場合、1年後には100万円×10%=10万円の利息がつき、2年後にも前年同様に10万円の利息がつきます。単純に毎年10万円ずつ殖えていくことになるため、年10万円という利息金額はずっと変わらず、単純に毎年10万円が元本に加えられていきます。

一方、「複利」の場合、1年後は、単利の場合と同様、100万円×10%=10万円の利息がつきますが、2 年後には、1年目の利息10万円に対しても10%の利息が発生するため、(元金100+利息1)万円×10%=11万円の利息がつくことになります。

「単利」と「複利」では、2年後には1万円の差が出ることになります。

そして、「単利」と「複利」は、初めの差こそそれほどではありませんが、年数を重ねていくごとに、その差はどんどん開いていきます。

同じ元本・同じ年利で運用をしているにも関わらず、10年後には60万円、20年後には373万円、30年後にはなんと1,345万円もの差が、「単利」と「複利」の間には生まれることになります。

具体的にどうやったら複利で運用できるのか

例えば、投資信託であれば、利息(配当)を自動的に対象投資信託商品へ再投資してくれる自動再投資型の商品を選ぶことで、複利で運用することができます。

逆に、ファンド商品などで利息(配当)を投資家に対して都度分配され、再投資されない利益分配型の商品を選んだ場合は、単利で運用されることになります。ただし、その利息(配当)を貯めておき、年に一度など定期的にご自身でその貯まった利息(配当)を同じまたは別の金融商品に再投資することで、複利の効果の利用した運用をすることができます。

得られた利益を再投資して資産運用を行うことで、資産の増え方が加速度的に増していく。それが「複利」なのです。

資産増加スピードを上げるだけではない!守りの「複利」とは?

「複利」による資産運用には、もう一つの効果があります。

例えば、元本100万円を“年利10%の単利”と“年利6%の複利”で運用した場合を比べてみましょう。

すると、“年利10%単利”は400万円で、“年利6%の複利”は約600万円となり、“年利6%の複利”の方が、30年後の資産は多くなります。

「リスクとリターンはイコール関係」という原則から考えた場合、当然年利6%を目指す運用の方が、年利10%を目指す運用より、リスクは低いことになります。

つまり、同じ目標金額に向かって資産運用をする場合でも、「複利」を用いることで、「単利」を用いるよりも低いリスクで資産を大きく増やすことができる、ということになるわけです。

このように、「複利」は、資産運用を行う上で、リスクを軽減する側面も持ち合わせているということになります。

資産運用を行う際には、この「単利」・「複利」の違いを理解し、そして「複利」を使いこなして、リスクを管理しながら上手に資産運用をしていきましょう。

次回は、ローリスクで資産を形成していくために必要なもう一つの考え方である「分散投資」についてお伝えします。

mikataaプロフィール

三方 麻琴(Mikata Makoto)

M&R Partners Pte. Ltd. Managing Director

– Official site: http://mikatamakoto.jp

– Official blog: http://mikatamakoto.jp/blog.html

– Official mail magazine: http://mikatamakoto.jp/mailmaga.html

※この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.247(2013年12月02日発行)」に書ききれなかった内容・補足をご紹介しています。

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