2014年2月17日
【第5回】“円安トレンドのとき”に有効な資産保有方法とは?
第3回・第4回のコラムでは、ローリスクで資産を形成していくために必要な考え方として、「複利」と「分散投資」についてお話をさせていただきました。
得られた利益を再投資して資産運用を行うことで、資産の増え方が加速度的に増していくこと、それが「複利」でしたね。
そして、「投資先の分散投資」・「投資商品の分散投資」・「時間の分散投資」という3つの分散投資手法を用いることで、ローリスクで資産を形成ができる、ということでした。
今回は、円安トレンドのときに有効な資産保有方法についてお話したいと思います。
シンガポール在住日本人を大別すると、「いずれ日本に戻って生活をする人」と、「今後ずっと日本で生活することがない人」に分かれます。その中で、円安は「いずれ日本に戻って生活をする人」に大きく影響してきますので、該当する方はぜひ今回のお話を参考にしてみてください。
”円安トレンド”は外貨資産保有に最適トレンド
円安になると、日本では輸入品の価格が上昇することなどによる影響で、物価上昇つまりインフレが起こりやすくなり、円預金などの “円資産”も対外的に目減りしてしまいます。
そして、2012年12月の安倍政権誕生以来、円安はどんどん進行し、1ドル100円を超え、2013年12月27日には2008年10月6日以来およそ5年ぶりとなる105円台をつけました。これは、この一年ほどで、米ドルに対して25%以上も円安になった計算になります。「円資産は米ドルに対して目減りした」ということです。
具体的に言いますと、あなたが持つ80万円は、1ドル=80円でも1ドル=100円でも、日本円で見れば80万円のままです。しかし、あなたの80万円を、ドルに換算すると、1ドル=80円のときは10,000ドルに対して、1ドル=100円のときは、8,000ドルとなり、米ドルに対する貨幣価値として20%減少している、ということになります。
このように、全て円資産で保有していたら、円安になればなるほど、資産は目減りしてしまいます。
私は、国内の不動産以外では資産のほとんどを米ドルなど外貨資産で保有していたため、逆に25%も円に対して増えたことになります。
もしあなたも、80万円分の円を米ドルに替えていたら“ただ保有していただけ”で100万円以上になっていた、ということです。
外貨資産で保有することで、円安による資産の目減りを防ぐとともに、円安によって資産を増やすことも可能になります。
今後円安になると予想されているときは、外貨の割合を多くしましょう。もし、円安・円高どちらになるかわからないときは、円資産と外貨資産の割合を50%ずつにすれば良いのです。もし全て円で資産を保有している人がいるとしたら、それは『円高になると予測している』ということになってしまいます。
なお、シンガポールドル(SGD)は、いくつかの複数通貨のレートを参考にレートを算出する通貨バスケット制を採用しています。2001年時点では構成比が『米ドル45%、円20%、ユーロ15%、その他20%』と推測されており、現在でも大きな構成の変更はないと思われますので、比較的安定した通貨ということになります。
そのため、シンガポールドル預金で資産を保有しておくことも、円安に対するバランスの良い外貨保有方法の一つです。
また、アメリカはシエールガス・シエールオイルなどの影響によって、今後より底堅い経済回復と成長をしていくと予測されており、量的緩和(QE3)の縮小などによってドル高が見込まれています。従って、世界の基軸通貨であり、貿易決済通貨であるアメリカドルで保有しておくことも、円安対策に有効な方法となります。
アメリカドルなどの外貨保有は、「FXでレバレッジ1倍で保有する」「FX会社の現受けシステムを利用する」などの方法が手数料といったコスト面で最も安いため、おすすめの手段となりますので、これを機会にFX口座を持っておくのも良いでしょう。
円安・株高を誘導するための日銀の金融緩和拡大が加速すると言われる中で、今や、日本人の資産も日本を含めた世界を見据えて守り、増やしていく時代になりました。
『全て円で資産を保有』していて『円安になるか円高になるかわからない』という人は一度、自身の資産を見直し、外貨資産を組み入れていきましょう。
次回(3月17日発行予定)は、「円安トレンドのときに有効な資産運用方法」についてお伝えします。
プロフィール
三方 麻琴(Mikata Makoto)
M&R Partners Pte. Ltd. Managing Director
– Official site: http://mikatamakoto.jp
– Official blog: http://mikatamakoto.jp/blog.html
– Official mail magazine: http://mikatamakoto.jp/mailmaga.html
※この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.251(2014年02月17日発行)」に書ききれなかった内容・補足をご紹介しています。