シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPシンガポールの異国空間「エキゾチック・トライアングル」

シンガポールモザイク

2012年5月21日

シンガポールの異国空間「エキゾチック・トライアングル」

 シンガポールには、この都市がアジアを代表するコスモポリタンシティであることを象徴するようなスポットが点在する。中でも、フィリピン人、ミャンマー人、タイ人が集まるスポットは、まさにシンガポールの中にある異国の雰囲気満点の”エキゾチック・トライアングル”。一体いつから、どうしてその場所に集まるようになったのだろう?それぞれの国の人たちに聞いてみた。
 

フィリピン人が集まる”ラッキー・プラザ”


 
 フィリピン・バヤニハン・ソサエティのアン・アレホ(Ann Alejo) さんによれば、在住フィリピン人は推定約20万人。「ラッキー・プラザが集合場所になった時期はわかりませんが、ずいぶん昔でしょう。フィリピンの銀行に食品雑貨店、美容院、何でもフィリピン人向けの店があるので、私も少なくとも1ヵ月に1回は必ず行きます」。

 

 以前は日曜日にメイドの人たちで混雑したが、状況が変わってきたという。「今、在住フィリピン人の60〜70%は専門職に就いているので、土曜日などに行く人が増えてきました」。

 

 いつも楽しそうに見えるフィリピンの人たち。なぜか聞いてみた。「フレキシブルで、どこでも適応できるからだと思います。例えば、アラスカにだって、多くのフィリピン人が暮らしています。また、どんな時でも笑顔を絶やさないことを心がけているんです」。

 

現地の声

 「ラッキー・プラザのことは、フィリピンでもテレビで紹介されていたので知っていました。今は月に1回、実家に送金するときに必ず来ます。フィリピンの製品を売っているサリサリストアもあって便利です。フィリピン料理なら3階にあるKabayan Filipino Restaurantがおすすめ。セブからシンガポールに来て2年半、今はイタリア料理店でカスタマーサービスの仕事をしています。シンガポールで気に入っているのは、治安がよくて、給料もいいことですね。」(Bambie Lucidoさん)

 

ミャンマー人が集まる”ペニンシュラ・プラザ”


 
 その昔、在住ミャンマー人に人気の場所はチャイナタウンのピープルズ・パークだった。1980年初め頃から、ミャンマー人向けに帰国の際のお土産に家電やバティックなどの衣類を売る店があったためだ。その頃はミャンマーの食品を売る店はなかった。それらの店がペニンシュラ・プラザに移転し、ミャンマー料理レストランがオープン。交通に便利で集まるミャンマー人も増えてきた。今ではビル内の飲食関係は、約90%がミャンマー関連の店だという。

 

現地の声

 「現在、シンガポール在住のミャンマー人は推定約15万人。今から4、5年前からでしょうか、ペニンシュラ・プラザにはワーカー、学生、エンジニア、ビジネスマンなどあらゆるミャンマー人が集まるようになりました」(Henry Zaw Tunミャンマークラブ・シンガポール会長)

 

 「ヤンゴンからシンガポールに来て、15年になります。今はジュニアカレッジの学生で、ペニンシュラ・プラザに来るのは月に1、2回。今日はシンガポール人やインドネシア人の友達にミャンマー料理を紹介したいと思って来ました。おすすめのミャンマー料理は、モヒンガーという麺料理。あと、ミャンマーの紅茶は独特で、とても濃い味が特徴です。今、ミャンマーは劇的に変わりつつあり、大きく前進しているように感じます。発展してほしいと思う一方、あくせくせず、のんびりとした雰囲気はあまり変わってほしくないな、とも思います。」(Tan Hu Queeさん)

 

タイ人が集まる”ゴールデンマイル・コンプレックス”


 
 在シンガポールタイ王国大使館によると、在住タイ人は現在約4万人。ゴールデンマイル・コンプレックスに集まるようになった時期は不明だが、30年以上前にさかのぼるという話もある。

 

 タイ料理店には正真正銘のタイの味があるといい、週末はタイ人ワーカーが集まる。タイの食品や雑誌を売る店やスーパーマーケットがあり、タイ音楽クラブや英語クラスなどを運営する団体もあるという。

 

 「タイ人が集まる理由として忘れていけないのは、タイ南部の都市ハチャイ行きのバスターミナルの存在です」(在シンガポールタイ王国大使館)。帰国のためにバスに乗る人はもちろん、故郷の言葉が懐かしく停車場に聞きに来る人たちでも、にぎわっているのかもしれない。

現地の声

 「バンコク近郊のホアヒン(Hua Hin)出身です。夫がシンガポール人で、こちらに住んでからもう10年以上になります。職業はシェフで、ゴールデンマイル・コンプレックスのタイ料理店で働いています。ここではタイ人はもちろん、いろんな国の人と知り合う機会があるので楽しいです。好きなタイ料理は、やはりトムヤムですね。日本の水戸市で2年、働いていたことがあります。人も気候もすばらしく、7月から8月に咲く花がきれいだったのを覚えています。」(Krittiya Charoensukさん)

文= AsiaX編集部
取材協力:Myanmar Club (Singapore) / Philippine Bayanihan Society (Singapore) / Royal Thai Embassy,Singapore

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOPシンガポールの異国空間「エキゾチック・トライアングル」