シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX熱帯綺羅TOPシンガポールのグルメトレンド「ソルテッド・エッグヨーク」、レスト...

熱帯綺羅

2018年10月29日

シンガポールのグルメトレンド「ソルテッド・エッグヨーク」、レストランの客の声から生まれた「新しい味」

オーチャード・ゲートウェイの店舗に並ぶ人々。直営店のみの販売で、国内ではVivoCityやチャンギ空港など合計8店舗。

オーチャード・セントラルに常に行列ができているショップがあります。シンガポーリアンの人々が、大袋に入った商品を次々と受け取っていくのです。そこで何が売られているかご存知ですか?その名も「ソルテッド・エッグポテトチップス(Salted Egg Potato Chips)」です。いくつかのメーカーから発売されているポテトチップスですが、中でも“ソルテッド・エッグヨーク・ブーム”を起こした元祖が「IRVINS Salted Egg」。現在、シンガポールに8店舗を展開している同店のポテトチップスは、2014年頃からシンガポーリアンの間で話題になりました。

 

私たち日本人にとっては「ソルテッド・エッグヨーク」ときいても、馴染みの薄い食材ですが、その正体は、塩水に漬け込んだアヒルの卵で、月餅の餡の中に入っているコクのある黄身といえばイメージしやすいかもしれません。中国や香港では長い間お粥や海鮮料理などに使われているもので、シンガポールでも目新しいものではなかったはずですが、ポテトチップスと組み合わせたことが功を奏し、たちまち大ブレイクしました。

 

Dangerously Addictive(危険な中毒性)と書かれた警戒色のパッケージ
フィッシュスキンチップスは、カリッと香ばしく酒の肴に最適

 

その味はというと、濃厚な黄身のパウダーは甘じょっぱく、あとを引く旨味が特徴。今までありそうでなかった、まったく新しいフレーバーです。

 

この「ソルテッド・エッグヨーク」を使った「IRVINS」のチップスは、元々トムソンエリアにあった同名の海鮮レストランで、お客さんとのコミュニケーションから発想を得て誕生しました。

 

3兄弟で始めた海鮮料理レストラン「IRVINS」(現在は閉店)。カニそのものよりも、話題になったのはコクのある旨味ソース

 

ソルテッドエッグヨーク・チップスのアイデアは常連客と共に発案

 

インドネシア人の3兄弟が開いた店舗は、ソルテッド・エッグヨークのソースが絡められたカニを目当てに通う常連客を中心に愛されていたそうです。そのソースがあまりにも美味しいと評判なので、最後までソースを絡め取って楽しんで欲しいとチップスが添えられていたとのこと。そのうち、常連客の中に「ソースがけのチップスをもっと食べたい」という人々が現れ、袋詰めのソルテッド・エッグヨークのチップスを販売することになりました。すると、そのチップスが大当たり!レストランはたたんでこのチップスだけに注力していこうということになり、現在のブームを作るまでに成長しました。

 

日本人の口にも合う「クセになる味」

このソルテッド・エッグチップスは小 SGD8(688円)、大SGD16(1,376円)と、スナックとしては高めの値段設定なのですが、店頭では飛ぶように売れていきます。店舗で買い求める人々は、老若男女様々ですが、中でもビジネススタイルの男性や女性が多いことに気づきました。聞いたところによると「シンガポールはシェア文化があるので、会社でスナックタイムに皆で食べる」ということでした。

 

ポテトチップの他に、マトウダイの皮を乾燥させてソルテッド・エッグヨークのパウダーをまぶしたフィッシュスキンバージョンもあり、こちらもシンガポーリアンの間で人気なのだとか。実際に食べてみると、魚の皮の香ばしさと濃厚なソルテッド・エッグヨークの風味が絶妙で、ビールや日本酒にも合いそうな味わいです。

 

ソルテッドエッグ・チップスはシンガポール生まれ、シンガポール育ちのスナックなので、帰国の際や出張のときなどに「話題のシンガポール土産」として渡すのもオススメです。パイナップルタルトやポークジャーキーを見慣れている相手からは、一目置かれるかもしれませんね。

 

“ソルテッドエッグ中毒”のブロガーも続出

ソルテッド・エッグヨークのフレイバーはシンガポーリアンを魅了し、ポテトチップのみならず様々な食品や料理に広がり続けています。フライド・ポークや、フィッシュ&チップス、それにパスタにもぴったりと合い、塩味の効いた調理が好まれるシンガポールにおいてレストランのジャンルを問わず様々な店舗のメニューに登場しています。

 

ブロガーを魅了しているのはソルテッド・エッグを使った洋スイーツの数々。意外な組み合わせですが、以前日本で「塩キャラメル」が流行った時の感覚に似て、ソースの塩気と、スイーツの甘みがお互いの良さを引き立て合う組み合わせです。ふたつに割ると、中からとろりとしたクリーミーなソースが溢れるラヴァ・ケーキや、ソルテッド・エッグソースがかけられたバニラアイスが乗った焼きたてのワッフルなど、まさに至福。とろりとしたソースがかかった「インスタ映え」するスイーツの画像は、その美味しさを絶賛するコメントと共に次々とアップされています。カラフルでコロンとした見た目が人気のマカロンにも、ソルテッドエッグ・ヨーク味がお目見え。ネットには、「ソルテッドエッグ・マップ」なるものもアップされているので、参考にしながら街歩きをするのも楽しいかもしれません。

 

「FAT CAT ICE CREAM BAR」のワッフルは、ソルテッド・エッグヨークソースの塩味とバニラアイスの濃厚な甘みがマッチする人気スイーツ。右のソースとありあわせの食材を一緒に炒めれば、家庭で旬な味を再現できる。

 

家庭でもソルテッドエッグ味を楽しみたい!という場合には、調味料のブランドから発売されているパウダーやペーストを購入してみてはいかがでしょうか。魚や海老、豚肉や野菜など、好みの具材を油で炒めてバターを加え、市販のソルテッドエッグ・ペーストを加えて炒めれば簡単に風味豊かな一品が完成します。さらにひと手間加えるなら、ソルテッド・エッグを使った料理に加えることが多いカレー・リーフを一緒に炒めてみましょう。ワンランク上の風味を楽しむことができます。カレーリーフは、リトル・インディアなどで購入可能。生の葉は香りが豊かです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.339(2018年11月1日発行)」に掲載されたものです。取材・写真: 神尾 由紀

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX熱帯綺羅TOPシンガポールのグルメトレンド「ソルテッド・エッグヨーク」、レスト...