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熱帯綺羅

2016年8月15日

建国期の空を守った戦闘機 シンガポール空軍博物館

セスナ2機からのスタート、高性能機を多数揃える空軍に

2階には空軍の歴史を記したパネルや過去に使われていた制服、戦闘機の模型などが展示されており、軍の視点からシンガポールの歴史を知ることができます。1965年の独立当時から、空、陸、海を守る独自の軍を持つことはシンガポールにとって最優先事項のひとつだったといいます。1967年には当時の英国のウィルソン内閣がスエズ運河以東からの撤兵を決め、当時シンガポールに駐留していた英国軍も3年以内に引き上げることになったため、独自の軍を持つ必要性が高まりました。
英軍が撤退を決めてから8ヵ月後の1968年9月に、SADCが当時のセレター基地に設立されました。当初、軍のエンブレムは、英国軍の赤、青2色の円を基調にしたものを、シンガポールのナショナルカラーである赤に統一したものでした。
今でこそ200機以上の航空機を備えるシンガポール空軍ですが、当初配備されたのはセスナ2機のみ。そのうち1機は館内に展示されています。館内のパネルには、当時のエンジニアの回顧が記されています。「もし1機が故障したら、われわれはセスナ1機だけでシンガポールの空を守らなければならない」。わずかな装備しかなかった当時の軍では、エンジニアへのプレッシャーも相当のものだったことが伺えます。
翌1969年にはヘリコプターが新たに配備され、技術者など人材育成のための学校が設立されるなど、徐々に環境整備が進んでいきます。その後もシンガポールの経済発展とともに軍備も増強・近代化され、現在の組織へと発展していきました。館内には、年代ごとの軍備についてミニチュアも展示してあり、軍が発展していく様子を辿ることができます。
平日は人も少なく、ゆっくり見て回ることができるこの博物館。歴史好きな方は、ほかの博物館とは一味違った視点を得られるかもしれません。

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豊富な写真とともに、空軍の歴史を紹介している
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シンガポールエアショー2014での、ブラックナイツによるパフォーマンス。アクロバティックな動きは、多くの人を魅了する。Photo by Zexsen Xie – Black Knight Singapore 1

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.308(2016年8月15日発行)」に掲載されたものです。 取材・写真:佐伯 英良

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