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熱帯綺羅

2016年7月4日

シンガポールの歴史とともに成長した 木々を巡る「ツリー・トレイル」

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エスプラナード・パークのセノタフ付近にあるレオパード・ツリー。ラテン語の種名にはferrea(鉄の意)と付くくらい、幹がとても堅い。

シンガポールの暮らしは緑に溢れオアシスのような快適さがあり、都市環境が整っている「ガーデン・シティ」という魅力をアピールすることで、海外からの融資や企業の誘致を得て先進国となるべく、故リー・クアンユー元首相は1960年代から積極的な緑化政策に取り組んできました。その1つに樹木の保護活動や植樹があります。島内各所にある木々には、英国植民地時代の1880年ごろから生育している木やシンガポールがマレーシア連邦から独立した1965年前後に植えられた木、シンガポールの環境下でも生息できる植物を増やすため海外から持ち込まれた木もあれば地域開発によって近年植えられたばかりのものまで、様々な木が存在しています。それぞれの木が持つ歴史や文化的価値をシンガポールの遺産として国民や観光客に知ってもらい、また次世代にも伝えていきたいと、国立公園管理局(National Parks Board、NPB)は2016年3月、観光客が多く集まるシンガポール中心部の木々を巡る遊歩道「シビック・ディストリクト・ツリー・トレイル(Civic District Tree Trail)」を設置しました。

 

日本ではあまり見かけない珍しい木との出会い

同ツリー・トレイルの全行程は約3キロで、指定されたチェックポイントは20ヵ所。約25種、計約35本が対象です。イスタナのメインゲートからスタートし、シンガポール国立博物館、ラッフルズ・ホテル、ナショナル・ギャラリー・シンガポール、エスプラネード・パークなどを経由して、ゴール地点となるアジア文明博物館の裏にある白いラッフルズ卿像へと向かいます。
エスプラナード・パークのセノタフ(戦没者記念碑)付近には2本のかわいらしい木があります。1本は、ブラジル東部を中心に生息する、豹のように幹が白と茶色のまだら模様になったレオパード・ツリー。表面はとてもつるつるしていて触り心地が良く、木の枝は複雑にうねっているのが特徴です。もう1本は南米大陸の北部を中心に生息し、15~20センチほどの大砲のような大きい実が生るキャノンボール・ツリー。取材当日は実になる前のピンク色の花が咲いており、南国特有の香りが漂っていました。
また同パークの向かいにあるセント・アンドリュース大聖堂では、1本の大きなレイン・ツリー(別名:アメリカネムノキ)と出会えます。マメ科のレイン・ツリーはシンガポールの街路で多く見られる木の1つで、夕方暗くなったり、雨が降ったりすると葉が閉じることから、その名で呼ばれています。このレイン・ツリーは幹回りがなんと約8メートルもあり、1880年代から生息しているという樹齢が一目で伝わります。

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今回の取材ツアーでガイドを務めてくれた、NPBダイレクターのカルトム・アブドゥル・ラティフさん。シンガポールの植物について29年学んできたという大ベテラン。

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