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熱帯綺羅

2009年5月18日

太平洋を渡ったクバヤの里帰り。

ニョニャの伝統衣裳であるクバヤは、通常「サロン・クバヤ」と呼ばれ、サロンとの組み合せ抜きには語れません。まずサロンがあって、その上着となるクバヤの色や刺繍のデザインを決めたといいます。200枚以上あるコレクションの中から、ピーターさんが選んだサロンを手持ちのクバヤにあわせると、まるで息を吹き返した様に、そのデザイン、色合いが美しく映えました。そして、これにブラウスの前を留めるブローチのクロサン、ベルト、ビーズのサンダルをあわせて、ニョニャ・ファッションは完成。往時のニョニャ達は、そんなコーディネート談義にさぞや花を咲かせていたことでしょう。

ピーターさんいわく、仕立てのいいクバヤは、たたむとすぐにわかるのだそう。前身頃と後ろ身頃の縫い目のすそと襟の真ん中をつまむとピタリと半身に折れて、背中の部分の美しいラインが現れました。すその刺繍をなで上げる様に手際よくたたむピーターさんの満足そうな笑顔。 大量生産が可能となり、手頃なサロン・クバヤを気軽に現代女性が身にまとうことを、文化が継承される良い傾向だとしながら、古き良きものに宿るストーリーを語り継ぐことが自分の役目だとピーターさんはいいます。「このクバヤの持ち主の方は、手放すことにご興味がおありですか。」と、ピータさん。里帰りしたクバヤの新しい家は、どうやらすぐに見つかりそうです。

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カトンアンティークハウスのオーナー、ピーター・ウィーさん

Katong Antique House

208 East Coast Road Singapore 428907

TEL:6345-8544

訪問時は、要電話予約

208 East Coast Road Singapore 428907

文= 桑島千春
写真=Eugene Chan

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.145(2009年05月18日発行)」に掲載されたものです。

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