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熱帯綺羅

2009年7月20日

蘇った「ブラック&ホワイト」

改造後はレストランやパブ、スパとして復活

木造とレンガを半々に使った基本構造はイギリスの建築様式です。太い木枠を多用した白壁の家は、15世紀のイギリスで流行ったチューダー様式で、シンガポールでも当初はこのスタイルが多く、その後ゴシック様式を経て、ヴィクトリア様式が採り入れられるようになりました。これは木枠を黒に塗り、白壁とのコントラストが美しい建築様式で、木枠のデザインも凝ったものとなり、個性的でデコラティブな家が次々と建てられました。こうしてブラック&ホワイトハウスのスタイルが根付いたようです。

17世紀にやはりイギリスの植民地だったインドで建てられたアングロ・インディアンのスタイルも継承しており、高い天井、大きな窓と天蓋、広いテラスやバルコニーは熱帯モンスーンの気候に適しています。窓枠や柱の形、テラスのフェンスや屋根などのデザインは年代によってさまざまなデザインが見られるうえ、高床式のマレースタイルも取り込まれており、まさにこのブラック&ホワイトハウスは東西の交差点としてのシンガポールを象徴しているわけです。

なんといっても風通しのよいバルコニー、頭上で旋回する天井扇、アイアンレースの電灯、軒下から垂れ下がる白黒の簾が、コロニアルスタイルの建物と相まって心地よい空間を作り出しています。

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レストランのテーブルの足元でのんびり遊ぶ黒猫。

文= セガラン郷子
写真=内藤剛志

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.149(2009年07月20日発行)」に掲載されたものです。

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