2009年10月19日
異種配合から生まれた蘭の花 Vanda Miss Joaquim ‘Agnes’
植物園にはヴァンダ・ファミリーの蘭の花がいっぱい
シンガポール植物園にはナショナル・オーキッド・ガーデンがあり、数えきれないほどの蘭が競い合うように咲いています。ヴァンダ・フッケリアナとヴァンダ・テレスもあり、よく観察すると、子供のアグネスはその形はフッケリアナから、そして色合いはテレスから引き継いでいることがわかりますヴァンダ・フッケリアナはスマトラ、ボルネオ、マレー半島に広範囲で見られる一方、ヴァンダ・テレスはヒマラヤからビルマ、タイ、ラオスの一帯に咲いていた品種であり、その母国の異なる両親を持つアグネスは、シンガポール(タンジョン・パガー)生まれというわけです。両親の遺伝子を受け継いだアグネスの特徴は花の美しさだけでなく、背の高さ、そして一本の茎に多くの花を付けることだそうです。
ヴァンダ・ミス・ジョアキム・アグネスはまた、シンガポールで誕生した異種配合の蘭(オーキッド・ハイブリッド)としては第一号でもあります。その後は植物学者や蘭のコレクターたちによって、多くのオーキッド・ハイブリッドが生まれています。
ヴァンダ・ミス・ジョアキムのファミリーだけでもヴァンダ・ミス・ジョアキム・ジョセフィン、ヴァンダ・ミス・ジョアキム・ローズマリー、ヴァンダ・ミス・ジョアキム・ジョン・レイコックなどがあります。
種類の異なるたくさんの蘭の花が色とりどりに咲いている光景は、カラフルな多民族国家シンガポールを反映させているようです。
文= セガラン郷子
写真=Eugene Chan
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.155(2009年10月19日発行)」に掲載されたものです。