2011年2月14日
新年への願いを筮竹に託す「観音堂佛祖廟」
おみくじを解読して保身符や門符に
さて飛び出した観音筮をカウンターに持って行くと、その番号のおみくじがもらえます。英語・中国語で書かれていますが、内容は中国の故事に基づいていますから、中には難解なものもあります。
たとえば記者は以前、引っ越しを考えていた際に96番のおみくじをいただきました。書き出しは次のようなものでした。”Seven storeys high the majestic pagoda stands. In all directions it shines with glittering glow.”これは、「有名な寺院の七重の塔から全方位に光が当てられているので、どこに住んでも大丈夫ですよ」という意味でした。おみくじの詳しい説明はカウンターに置いてある手引き書に書かれています。じっくり読みたい方は購入も可。
おみくじは、読み終わった後焼却してもいいそうですが、「保身符(お守り)」として畳んでお財布の中に入れておく人もいます。または家内安全を祈願して家のドアに貼りつけておく場合は、「門符」と呼ばれます。試験の前におみくじを焼いた灰を混ぜた水を呑んで、度胸を付ける人もいるという話です。日本人のように木に結びつける習慣はないようです。
さて2月28日、観音堂は早朝4時に開門します。10¢コイン入りの紅包(アンパオ)というお年玉のようなものを、今年一年のお守りとして人々に配るのです。この日はきっとより多くの人々が集まるのでしょう。
寺院周辺に集まっている、蓮の花や果物、お線香を売る屋台風の店は、旧正月前後にいっそう忙しくなります。観音堂のすぐ隣にはヒンズー寺院の色鮮やかなゴプラムも見られますが、参拝客の多くは中国寺院でお参りした後、こちらでもお線香を上げてゆくのです。周囲には回教寺院モスクや教会も数多く点在しています。多彩な宗教がさりげなく共存しているブギスは、もっともシンガポールらしいエリアのひとつではないでしょうか。
観音堂佛祖廟(Kwan Im Thong Hood Cho Temple)
178 Waterloo Street Singapore 187964
TEL:6337-3965
文= セガラン郷子
写真=Eugene Chan
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.183(2011年02月14日発行)」に掲載されたものです。