シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX熱帯綺羅TOPマリーナベイに咲く大輪の花「アートサイエンス・ミュージアム」

熱帯綺羅

2011年3月21日

マリーナベイに咲く大輪の花「アートサイエンス・ミュージアム」

「アートサイエンス」が展示の切り口に

また、興味深いのが、「アートサイエンス」と銘打ったミュージアム(博物館)であること。この博物館では、アートとサイエンスを切り離して展示の中身を構成するのではなく、芸術性の高いデザインと時代の先端を行く科学技術の融合によって生まれたこの建物そのもののように、未来を構築するために必要な切り口として「アートサイエンス」のフレームワークで展覧会を企画制作していく。館長のトム・ザラー氏は、「シンガポールには、その歴史や、文化、美術といったカテゴリーを紹介する博物館、サイエンスセンターなど、それぞれ素晴らしいものが既に存在します。それらを踏襲するのではなく、我々は、これまでにない新しい文化施設として、このアートサイエンスという切り口であらゆる展示を制作し、ユニークなストーリーを紹介していきます」 と説明した。

最上階にある常設展示のギャラリーでは、ここで言うアートサイエンスを、現代生活へ発展を遂げるきっかけとなった人類の歴史に名を残す発見や発明に導いたクリエイティブの源と置き換えて、「Curiosity(好奇心)」、「Inspiration(ひらめき)」、「Expression(表現)」の角度からインタラクティブな展示を通して解説している。

ザラー氏は、出身地のアメリカを中心にエンターテイメント性の高い展覧会を数々手がけて来た。「こちらでは、教育的な意味を大事にしながら、エンターテイメントの要素も存分に取り入れた、新しいコンテンツを提案していきたいです。現在公開中の『チンギス・ハーン』展がアメリカのスミソニアン博物館の協力で実現したように、世界各国のエキスパートと共に質の高いものを企画制作する予定です」と、その抱負を語り、「建物の完成と同時にミュージアムそのものも出来上がるのではなく、その時代や訪れる人々に合わせて常に変化し続けるべきものなのです」 と付け加えた。展示の中身は、1ヵ月半~2ヵ月ほどで入れ替わる予定。これから一層進化し続けるという未来型のミュージアムを楽しみにしたい。

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建物の中心部。屋根を伝って集められた水は、円形の穴から滝のように流れ落ちる。

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設計担当のモッシュ・サフディ氏。モントリオールの「The Habitat 67」を始め、北米やイスラエルの空港や博物館など公共施設の設計で知られる。
10 Bayfront Avenue 018956

文= 桑島千春
写真=Eugene Chan

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.185(2011年03月21日発行)」に掲載されたものです。

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