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熱帯綺羅

2011年7月4日

龍の化身「アロワナ」

アロワナという熱帯魚との初めての出会いは、ある中国系シンガポーリアンのお宅に招かれたときのことでした。広いエントランスに大きな水槽があり、錦鯉と同じくらいの大きさの観賞魚が一匹、ゆったりと泳いでいたのです。

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一匹一匹色のコンビネーションが少しずつ違い、個性的なアロワナ。生きた化石とも呼ばれる

 

「熱帯魚の愛好家だったら、一度は飼ってみたいと思う魚なんです。最後に行き着くのはアロワナですね」と、その家の主は教えてくれました。「ドラゴン・フィッシュとも呼ばれていて、私たち中国人にとっては富と幸運を招く魚ですよ」と彼は目を細めていました。

流麗なフォルムと、灯りによって微妙に光沢や色が変化する鱗。その1枚1枚に細い筆で描かれたような縁取りがあり、無駄な動きのない、悠々とした泳ぎ方に威厳が感じられる。確かに「龍の化身」、あるいは「龍魚」と呼ぶに相応しい容姿を備えた魚だ、と強く印象に残りました。

1億年を生き抜いた古代魚

アロワナの歴史は地球上に恐竜が跋扈していた中生代、白亜紀まで遡ります。しかも1億年前から現在に至るまで、その姿形も生態もあまり変わっていません。シーラカンスやハイギョなどとともに古代魚と呼ばれています。進化しなかった、ということは、進化する必要のない、環境の変化に負けない生物とも言えます。

生息する地域は熱帯を中心にかなり広範にわたっています。体長1メートルにもおよぶシルバー・アロワナはアマゾン川の上流から下流まで、ペルーやブラジルの各地で見られますし、ブラック・アロワナもアマゾンの支流に生息しています。ただアジア・アロワナと同様、野生のブラック・アロワナは急速にその数を減らしているため、輸出規制が検討されています。

一方ノーザン・バラムンディとよばれるアロワナはオーストラリアやパプア・ニューギニアなど広い地域に見られますが、これは他のアロワナと違って性質が少し荒く、飼育の難しい種類だそうです。

そしてインドネシアやマレーシアの川で見られるのがアジア・アロワナ。体長60~70センチで白、黒、ゴールド、レッドなど色彩の美しさに特徴があります。ワシントン条約の絶滅危惧種に指定されていて、輸出入には許可書が必要になりますし、最近マイクロチップの埋め込みが義務付けられ、管理団体によってデータが保存されています。

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突然変異的に生まれる黒いアロワナは珍重されているが、生まれつき目がないため、餌も口元まで運んであげるなど手がかかる。それだけに養殖場のスタッフみ んなから可愛がられていた。

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