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熱帯綺羅

2012年2月6日

在星日本人の歴史が眠る公園「Japanese Cemetery Park」

 

日本人会再出発のきっかけ

Screen Shot 2015-07-30 at 3.22.19 pm戦後、1949年に墓地は敵産処分となって接収され、中国人墓守一人の手には負えず荒れてしまいましたが、1952年サンフランシスコ条約の発効後に日本総領事館が再開され、翌1953年には墓地の管理が総領事館に委ねられました。戦争により消滅していた日本人コミュニティも徐々に復活、墓地の清掃や管理などがきっかけで1957年3月14日に日本人会が再び発足しました。

 

白アリの被害で朽ちていた西有寺のお堂は1960年に墓地の大改修が行われた際に新しく建立され、1969年には墓地が正式に日本人会へ返還されました。1973年、市内の他の旧墓地とともに新たな埋葬が禁止され、管理の悪い墓地が都市開発や環境衛生のために次々と接収される中、日本人墓地は存続されました。

 

現在の御堂は1986年に建て直されたもの。墓地は無宗教とすることが決められていたことから、仏教的な「寺」ではなく「御堂(みどう)」と呼ばれています。

 

また、日本人会創立30周年記念事業として墓地の大規模な改修工事が行われ、「日本人墓地公園」として整備されました。その間に政府より墓地の接収が通告されましたが、官民総力をあげて陳情を行い、1989年から30年間の貸与と存続が認められました。

 

現在も、草刈りや植栽の手入れ作業がほぼ毎日行われ、日本人学校の児童・生徒やボランティアグループによる清掃活動も定期的に行われています。墓地公園を訪れる日本人観光客の姿も時々見られます。

 

毎年3月14日には、墓地公園で日本人会主催の慰霊祭が開催されています。当日は午後5時から日本人会史蹟史料部によるガイドツアーの後、午後6時から慰霊祭が始まり、大使および日本人会会長の挨拶と献花、黙とう、墓参などが行われます。誰でも自由に参加できます。

 

『戦前シンガポールの日本人社会』および『シンガポール日本人墓地』(いずれもシンガポール日本人会発行)は、いわみせいじ氏が描いた墓地の案内図などとともに日本人会で販売中
825B Chuan Hoe Ave singapore 549853

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.205(2012年02月06日発行)」に掲載されたものです。
文= 石橋雪江
写真=石橋雪江

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