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熱帯綺羅

2012年2月20日

500年の航海の歴史を受け継ぐユーラシアン

 

現代を生きるユーラシアンたち

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「Quentin’s」自慢のデビルカレー。
キャベツ、じゃがいもなどの野菜、ソーセージや骨付きベーコンをマレー風のカレーペーストで煮込む。
レストランではオーナーのクエンティンさんのユーラシアン家庭料理が楽しめる。
ユーラシアン料理レストラン「Quentin’s」

シンガポール建国期に、政治、法曹、経済、文化面で活躍した人物を輩出した功績と共に、1994年ゴー・チョクトン元首相により第4の民族として公的に認めらたという現代のユーラシアンの人々。第2代大統領のベンジャミン・シアレス氏、シンガポール政府樹立後すぐに法務労働大臣を務めたK・M・バイルン氏、篤志家として知られるチャールズ・パグラー氏などを始め、現在活躍中の音楽家のジェロミー・モンティロ氏や舞踏家のシルビア・マッカーリ氏などが有名です。

 

1919年に設立されたユーラシアン協会は、現在4階建ての独自の会館を持ち、後世への教育、コミュニティー内での生活扶助提供など活発に活動しています。自由な婚姻が進み、ユーラシアンの定義も拡大する中、「過去への哀愁でも未来への憂いでもなく、若い世代にはユーラシアンである自分のルーツに関する知識と理解を持って、将来それぞれの道へ進んでもらいたい」と、ウェスタラウトさんは期待を込めます。

 

ユーラシアン会館には、ユーラシアンの歴史を展示するギャラリーの他、シンガポールで唯一本格ユーラシアン料理を供するレストラン「Quentin’s」を併設。会館は外部にも開かれており、誰もが足を運んで、昔と変わらず美食、美酒、音楽を愛するという現代のユーラシアンの文化を五感で味わうことができます。ユーラシアンなら誰もが知るという「ジンクリ・ノナ」のリズムを耳にしながら、ポルトガルやマレーの風味が見事にマッチした料理を食せば、ひと味違ったシンガポールの一面を垣間みれるでしょう。

 

139 Ceylon Road Singapore 429744

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.206(2012年02月20日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春
写真=桑島千春

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