シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX熱帯綺羅TOPコロニアル・ビルを代表する、アジア文明博物館

熱帯綺羅

2012年3月5日

コロニアル・ビルを代表する、アジア文明博物館

 

博物館として蘇る、アジアの民族文化を紹介

Screen Shot 2015-07-30 at 3.12.02 pm改修工事が終わって美しく蘇ったビルでは1990年代、主に中国からの美術品を紹介する期間限定の美術展が行われるようになりました。天井が高く、壁面の広い館内は大型展示に適した造りだったのです。その頃アルメニアン・ストリートにあったアジア文明博物館(現プラナカン博物館)がエンプレス・プレイス・ビルに移転することがのちに決まりました。

 

アジア文明博物館がこのビルに開館したのは2003年3月のこと。中国、東南アジア、南アジア、西アジアの文化・美術を紹介する博物館として生まれ変わりました。これらの地域はシンガポールの国民を構成する各民族の出身地でもあります。つまりアジア文明博物館は、シンガポールに暮らす人々の祖先が築いた文化、そしてその文化から生まれた芸術作品を順次紹介してゆく目的を担っているのです。3階建ての館内には11のギャラリーがあって、常設展示としてはシンガポール、東南アジア、西アジア、中国、南アジアの5つのギャラリーがあります。2階に上がってまず目に付くのはシンガポールの展示で、ここの資料を見ると、主にシンガポールの開拓史、シンガポールの港湾と川が辿ってきた、東西の交差点としての歴史、そしてその中心的な場所としてエンプレス・プレイスが紹介されています。

 

過去に行われた展示会を見ると、中国やインドの古典的な美術品の展示が多く、中には海外に出展されるのは初めてという展示物も数多く公開されてきました。日本の美術品を扱った「日本のお面(Hidden Faces-The Art of Japanese Masks)」という展示会が開催されたこともあります。現在は「インド・テキスタイル展(Patterns of Trade-Indian Textiles For Export)」と「唐朝・難破船の宝飾展(The Tang Shipwreck Gold and Ceramics from 9th century, China)」の2つの特別展が行われているところです。長い歴史を誇るアジアの大国、インドと中国は芸術品の宝庫でもあります。アジア文明博物館はこれからも、インド、中国、そしてアジア各国の美術作品を展示して、私たちを楽しませてくれるでしょう。

 

1 Empress Place Singapore 179555

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.207(2012年03月05日発行)」に掲載されたものです。
文= セガラン郷子
写真=セガラン郷子

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX熱帯綺羅TOPコロニアル・ビルを代表する、アジア文明博物館