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熱帯綺羅

2012年10月1日

東南アジアの現代アート発信地「ギルマン・バラックス」

 

時代の面影を残すギルマン・バラックス

Screen Shot 2015-07-28 at 4.38.30 pmかつてジャングルと沼地に囲まれていた旧英国陸軍の兵舎ギルマン・バラックスは、1935年に完成しました。ギルマンという名は、ウェブ・ギルマン卿という元英国軍大佐の名に由来します。第2次世界大戦中には、1942年に英国植民地政府が日本軍に降伏する直前までの数日間、日英両軍の激しい戦地にもなったといいます。シンガポール建国後、1971年の英国軍のシンガポール撤退にあたり、1ドルでシンガポール政府に譲渡され、90年代までシンガポール国軍のキャンプ地として使用されました。軍がキャンプ地を移転した2002年より、ギルマン・ビレッジとして、レストランやバー、家具を扱うショップなどがテナントとなり、郊外型商業施設として再利用されていたのは、まだ記憶に新しいところ。そして、2010年にアートおよびクリエイティブ産業のハブとして再開発する構想が発表され、現代アートの複合施設として、現在の姿となったのです。15ブロックある建物の外観は幸い保存状態が良く、旧植民地時代の面影をいまだ保っており、生い茂る濃い緑の木陰を歩いてアート散策する間にも、そこここに当時を忍ぶ事ができます。

 

アートによって新しい時代を迎えたギルマン・バラックス。世界的に知られる巨匠から、将来が期待される新人アーティストの作品まで、それぞれ個性的なアートに出会えるほか、各種アート・セミナーなども開催されます。美術館ともひと味違う、今を象徴する生きたアートに触れられるシンガポールの新名所は、ギャラリストやアーティスト達との交流も楽しみに、ゆっくり時間をかけて訪れたい場所です。

 

9 Lock Road Singapore 108937

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.221(2012年10月01日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春
写真=Eugene Chan

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