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熱帯綺羅

2012年11月19日

南洋の海がふるさと、マレーの人々を知る「マレーへリテージセンター」

 

有形無形のマレーの世界を丸ごと体感できる場所

Screen Shot 2015-07-28 at 4.22.42 pm国家遺産庁(NHB)の管理の下、2005年にマレーヘリテージセンター(MHC)としてオープンする以前は、やや寂れた雰囲気で人々にとっては遠目に眺めるだけのイスタナでした。今年9月、300万シンガポールドルをかけて、装い新たに再オープンしたMHCは、これまで以上に建物やその前の庭園などが美しく手入れされ、博物館としての展示物、展示の手法にも趣向を凝らしています。また、最新鋭の設備を備えたシアターや多目的スペースなども増設され、広い庭園でも定期的に各種イベントが催されています。

 

旧イスタナの建物では、マレーの家屋の風習に習って靴を脱いで上がり、まずは2階の展示室へ。マレー民族が分布する地域を示す巨大な地図と、19世紀以降のシンガポール市街地の変遷がわかる展示があります。隣のシンガポールにおけるマレー民族を紹介する展示室に進むと、シンガポールの国宝とされるサルタン一族の宝物などが間近に見れたり、人々の伝統的な陸上のライフスタイルや、ブギスハウス(水上生活者の家)、メッカへのハッジ(巡礼)、海上貿易の様子などが続きます。

 

階下へ下りると、近代以降の彼らの文化面での活躍が紹介されています。印刷会社が集まり戦後まで出版の中心を担ったカンポン・グラム、1920年代まで大衆の娯楽だったマレーオペラ、そこから発展した映画産業、また、国歌を生んだ著名音楽家ズビル・サイドなど、インタラクティブな展示を通して、驚きと共にその豊かな芸術性を垣間みれます。

 

「国内外から訪れる人々がマレー民族への理解を深め、マレーのルーツを持つ人には、自分の民族に誇りを持つ機会となれば。MHCは、アジアにおけるマレー文化を伝承するリーダー的機関となることを目指しています」とサレイさん。イスタナ時代が今に蘇ったような堂々たる佇まいのMHCは、マレー特有の懐の深さと温かみを持って、多くの人々を迎え入れていくでしょう。

 

85 Sultan Gate Singapore 198501

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.224(2012年11月19日発行)」に掲載されたものです。
文= 桑島千春
写真=Eugene Chan

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