2013年5月20日
スパイスの壺・小印度「Little India Arcade」
インドの伝統文化を継承し、手工芸品を販売
アーケード内にあるインドのスイーツの店、金細工の店、アクセサリー・ショップ、サリーやパンジャブ・スーツといったインドの伝統衣装の店は、今も地元のインド系シンガポーリアンに親しまれています。ミラーを張り付けたジュエリー・ボックスやペーパー・マルシェと呼ばれる色鮮やかな工芸品はお土産の定番です。ヨーロッパからの観光客がパシュミナやショールを選んだり、ブラス(真ちゅう)を嵌め込んだ木工製品を買い求めています。
地元の小学生たちも社会見学に訪れ、インド文化に触れています。魔除けのために使われるビンディ(またはプッティ)というシールを額の真ん中に張ってみたり、ヘナと呼ばれる植物染料で手や足にボディ・アート(インスタント・タトゥー)を描いてもらったりしています。
クジャクの羽を振り回して遊んでいる子もいました。アーケードの周囲にもインド人街は広がっています。
ジャスミンの花輪を造っているストール、店先でミシンを踏むインド人テーラー。路地裏を歩いてみれば、今も占い師やストリート・バーバー(床屋さん)が商売をしています。あちこちの店から流れてくるボリウッド音楽、熱気とともに漂う香辛料やギー油の匂い。昔路上に並んでいたスパイス入りの大きな麻袋や、アーユルヴェーダの薬専門店などはいつのまにかなくなってしまいましたが、お祭りのような喧騒と、インド系の人々のパワーは今も健在です。リトルインディアという名のとおり小さなインド人街ですが、いつもその力強さに圧倒されます。
Little India Arcade
48 Serangoon Road Singapore 217959
TEL:6295-5998
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.234(2013年05月20日発行)」に掲載されたものです。
文= セガラン郷子
写真=Eugene Chan