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人材コラム

2020年8月10日

【ウィズ・コロナの働き方】シンガポールの人材活用で変わること

 シンガポール経済、企業、人々に多くの影響を与えたコロナウイルスの感染拡大。6月中旬にPhase2へ移行されて以降、少しずつ日常が戻りつつありますが、まだまだ先行きが不透明な状況が続いています。今回はウィズ・コロナの状況下での人材活用の観点から、シンガポールで変わることについて、いくつかご紹介いたします。
 

現在の採用マーケットについて

 まずは現状の把握として、Reeracoen Singaporeが週間ごとにシンガポールの大手求人サイトの求人数、求職者数の推移を記録しているデータを共有させていただきます。
 
 求人数に関しては、例年通り旧正月明けの2月にピークを迎えましたが、コロナウイルスの感染拡大が続いた3月下旬、サーキットブレーカーに入った4月には急降下し、5月1週目時点ではピーク時の50%まで求人数が落ち込みました。現在は緩やかに回復傾向にあり、7月中にはサーキットブレーカー前の3月下旬の水準まで求人マーケットは戻ってくると見立てています。採用が活発な業界としては、エッセンシャルサービスに指定をされていた大手外資系企業と一部ローカル企業、そしてIT業界の企業との二分化が進んでいる状況です。
 

 

 
 一方で求職者数に関しては、サーキットブレーカー初週であった4月1週目は一時的に減っていますが、求人数と比較をすると大きな波がなく、「良いところがあれば転職をしたい」という意向が依然として強いことが見受けられます。
 
 最近では、整理解雇や失業率の上昇などのニュースを目にする機会も増えてきており、シンガポール全体を通して考えれば、買い手市場の傾向といえるでしょう。しかし、比較的不況に強い業種、企業が優秀な人材の採用活動に動いている状況が続いていますので、改めて自社の人材採用と採用後の定着・活躍の戦略を見直されることをお勧めします。
 

シンガポールで変わること その1
~リモートワークの推進~

 勤務形態に関しては依然としてリモートワークが推奨されております。おそらく、この傾向は中期的に続いていくと見込まれます。弊社で5月に現職中の登録者に「今後はどのような勤務形態を望みますか?」 とアンケート形式で聞いたところ、全体の66%が在宅勤務を中心とした勤務形態(在宅勤務や必要な時だけオフィス勤務)を望むと回答。コミュニケーションやペーパーワークに課題を感じる一方で、移動時間の削減や時間管理の柔軟性などから在宅勤務を好む人が多いことが見受けられました。
 
 こういった意見は無視できず、人材の定着を図っていく上でも、企業側も柔軟な対応が求められるでしょう。またアフターコロナの時代においても、新規での人材採用の際には、リモートワークの有無が企業を選ぶ基準として挙がってくることが予想されます。
 
 「いかにリモートワークと付き合っていくのか?」……まだまだ考慮、議論の余地はありますが、既存のマネジメント方法、組織体制を変革する時期に来ていると考えます。以下がその変革の例になります。
 
・誰が何の業務にどれぐらい時間をかけて取り組んでいるのか、従業員のタスクを把握する
・無駄のない適切な人材配置とそれぞれのミッション、責任を明確にする
・全ての従業員に定量的な目標を設定し、都度振り返り、フィードバックができる状態にする
・リモート勤務時は定量目標、成果物で判断をする、その反面ガチガチにせず自由度はあって良い
・オフィスは従業員のエンゲージメントを維持する、高める場と捉える
 

 

シンガポールで変わること その2
~出張や移動の制限~

 シンガポールをはじめとした各国での入国制限、また空港や飛行機内でのクラスター発生の懸念などがまだまだ拭えない状況です。これまでシンガポールの立地を生かしたマネジメントや営業活動を行なっていた企業にとっては大きな痛手となっています。シンガポール現地法人のあり方の見直し、出張依存型からの脱却をよく耳にするようになりました。営業活動に関しては、後ほど記述しますので、ここではマネジメントのキーワードで現地人材の活用に関する情報をご紹介させていただきます。
 
 ご存じの方も多いかと思いますが、シンガポール政府は、2013年より「Strong Singaporean Core」の政策を打ち出し、国内の労働人口の3分の2を現地ローカルの労働力で占めるという目標を打ち出しています。これに伴い、外国人のVISA(Employment Pass、Spass)の基準は年々厳しくなっております。
 
 また今年の10月1日より、新たにMOM(Ministry of Manpower:人材開発省)から我々人材紹介会社に対しても、採用をする企業が年齢、民族、国籍、性別、宗教、身体障害の有無などに基づいて雇用の差別をしていないか、企業が公正な雇用を行なうことを推進しなければならないというルールが制定されることになりました。その他にも、現地人材に対しての再就職支援、教育研修のプログラムなどが多数発表されています。
 
 これまで日系企業では日本人の責任者、マネージャーが管理をする体制が長年続いていましたが、今回の出張、移動制限によるシンガポール法人のあり方の見直しと政府が本腰を入れる現地人材の活用という流れから、現地化が推進をされるのか否か、動向が注目されます。
 

シンガポールで変わること その3
~既存の営業手法が通用しない~

 上記の出張、移動の制限に関連する項目ですが、人と人の接触が制限される中で、これまでの営業手法も変革が求められています。オフラインからオンラインへ、アウトバウンドからインバウンドへがキーワードに挙がってきています。

オフラインからオンラインへ

 これまでの対面営業からオンラインツールを活用した営業手法が主流になっていくでしょう。採用面接も同様です。弊社が6月に在シンガポールの日系企業から聞いたアンケート結果では、70%強の企業が「オンライン商談に切り替えている」、「切り替えを検討している」と回答。元々営業を行っていないという回答を除くと、実に83.5%の企業がオンライン商談に切り替えながら営業活動を行っています。オンライン営業は現場が見られない、顧客の真意がわからないなど、課題がある一方で、出張や移動の時間、経費の削減、時間効率が上がることによって1日の顧客との商談数を最大化できるなどのメリットもあります。
 

 

アウトバウンドからインバウンドへ

 担当者がオフィスに出社していなかったり、出張や移動が制限されている中で、新規のご挨拶から関係性を構築しビジネスに繋げるなどの既存の営業手法では新規顧客のリード獲得、開拓が困難になっているケースが多く見られます。各社がこれまでの営業手法を変革して、ウェビナーを開催したり、Webマーケティングを強化し、インバウンドの問い合わせを増やしたいという考えが広がってきています。
 
 営業手法の変革が余儀なくされている中で、オンライン営業(インサイドセールス)に慣れている外資系企業出身の営業を採用したい、Webマーケティングの知識を持っている人材を採用したいというニーズが増えてきております。またすでに顧客とのパイプを持っている業界経験者の採用をより重視するという流れも増えると予想しております。
 
 そういった人材を見極め、採用し、定着・活躍を促していくために、ご相談があれば、お気軽にReeracoen Singaporeまでお問い合わせください。

 

 
Reeracoen Singapore Pte. Ltd. 
Regional General Manager 
副島康介

 
大学卒業後、新卒でエン・ジャパン会社に入社し、中途採用支援領域にて営業とマネジメントを経験。2015年に株式会社ネオキャリア/Reeracoen(リーラコーエン)に入社し、フィリピン拠点の立ち上げに従事。2016年1月にシンガポール拠点に異動し、17年より同拠点の責任者に就任。2019年よりシンガポール、フィリピンの2ヵ国の管掌マネージャーとして会社経営に携わっている。
■E-mail:soejima@reeracoen.sg
■会社ホームページ:https://www.reeracoen.sg/ja

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