2011年2月14日
アジアで勝負したい人、求む。
Procter & Gamble International Operations Pte Ltd ブランドマネージャー 彌野 泰弘 業種:一般消費財メーカー
私は、日本のP&Gでマーケティング担当として働いた後、1年半ほど前にP&Gシンガポールに異動しました。シンガポールに赴任して感じた大きな変化のひとつは、日本人がマイノリティになったということです。P&Gは世界中どこでも組織内の多様性を推進しており、日本のP&Gでも23ヵ国の異なる国籍の社員が働いていました。しかし、やはり日本人の数が多く、日本で仕事をしていたときは、日本人の常識がある程度スタンダードになっていたのですが、シンガポールに赴任すると、これまでのやり方だけでは通用せず、「アジアの常識」に自分を合わせていくことが必要でした。
赴任後、チームを背後から助ける形で仕事をしていると、グローバルチームのメンバーから「彼は仕事をしていないのではないか」と言われてしまいました。これは私にとって大変なショックでした。理由を聞くと、前面に立ってリードしていないと、「見えない仕事」=「認識されない」ということだったのです。
この経験から、日本を離れて、多国籍の人材に混じって仕事をしていくためには、日本での成功体験や日本のスタンダードをそのまま持ち出しただけでは通用しないのだと痛感しました。特に、シンガポールには、インド人や中国人など、自国で競争し、勝ち抜いてきたような人材が多く集まっています。また、その他のアセアン諸国の人材も、自らの国を背負って、強い情熱と高い能力をシンガポールで存分に発揮しています。そうしたアジアの人材とこれまで通りのやり方で優位性を築けるはずがありませんでした。
また、私は、これまでの日本でのスタンダードを忘れ、仕事のやり方を変えることにしました。このシンガポール赴任での新しいチャレンジの機会があったからこそ、日本にいては決して気づくことができない部分に気づくことができ、新たな学びと成長のチャンスを得られたのだと思います。
今、ビジネスの世界では、日本市場だけにとどまらず、アジアを中心とした世界のマーケットを視野に入れたビジネス展開が必須になっています。その流れの中で、日本人が自らの能力を発揮し、ビジネスをリードしていくためには、アジア、および世界の他の国の人材とのやりとりや、競争が必然として生まれます。そのやりとりや競争において、劣勢にあっては、当然ながら今後の日本の成長は見込めません。だからこそ、若いうちから競争の激しい環境に自らをおいて、必然として現れてくるグローバル競争の中で「勝てるスキル」を体得し、成長する必要があると思います。
グローバルなビジネス環境において競争優位性を持つために重要なのは、
- 強力なリーダーシップ(必要な変化を起こす力)
- マネジメントスキル(限られた資源で目標を達成する力)
- プレゼンテーションスキル(ビジョン、戦略、計画などを関係者に理解・納得してもらう力)
だと思います。また、それぞれのスキルにおいて、比較対象がグローバルで活躍する人材でなくてはならないのだと思います。そのためには、実際にアジア、またはグローバルスタンダードの中に飛び込んで、毎日の経験から学ぶのが一番重要ではないかと思います。
1日に40億回。これはP&G製品が、世界約180ヵ国の人々の暮らしの中で役立てられている回数です。パンパース、アリエール、ファブリーズ、ジレット、パンテーン、ウエラ、SK-II、ブラウン、アイムスなど、幅広い製品ブランドが、世界の人々から信頼され、愛されています。「お金、資産、ブランドがすべてなくなったとしても、社員さえいれば、10年でP&Gを元通りに再建できる」これは、1948年当時、P&G米国本社の会長であったリチャード・R・デュプリーの言葉です。このようにP&Gは古くから「人材こそが会社のもっとも重要な資産だ」と考えています。
P&Gは、昨年の後半より、シンガポールオフィスで勤務するマーケティング部の人材採用を始めました。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら弊社のリクルーティングサイトをご覧ください。また、お知り合いの方でも、アジア圏で挑戦したい、自らをグローバルリーダーとして成長させたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご紹介ください。
自分をステップアップさせるために、一緒にアジアで勝負しましょう。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.183(2011年02月14日発行)」に掲載されたものです。