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Employer's Voice

2011年6月6日

駐在員から現地採用へ

UNI-ELECTRONICS PTE LTD ジェネラルマネージャー 斉藤英二 業種:電子部品商社

シンガポールに来て、早2年4ヵ月が経とうとしています。初めは日本からの駐在員という立場での来星でありました。詳しい事情についての説明はここでは割愛致しますが、この間に2度の転職を余儀なくされ、1社目は100%ローカルの同族経営会社に1年3ヵ月勤務、その後は日系の小さな電子部品商社に勤務し、現在に至っております。何分このような経歴ですので、Employer’s Voiceなどという大それたものは書けませんが、この2年4ヵ月間で感じたところをEmployee’s Voiceとしていくらか述べさせていただきたいと思います。

 

良くも悪くも、この僅か2年半足らずの間に2回の転職を経験いたしました。勿論、この異国の地で小さな子供を達を抱えての身ですから、2回共に自らが希望して転職をしたわけではありませんでした。そうした事情もあって離職前に転職活動をしていなかったのですが、幸いにもPEP(Personalized Employment Pass)と言う個人に付与されるEPを保持していたことで、無事に(?)無職の間も転職活動をすることが出来ました。このPEPがあれば6ヵ月は無職でも滞在可能ですので、申請のための条件を満たしている方には是非取得をお薦めいたします。実はこのPEPは1回目の離職直前にMOMからオファーが来ましたので、正に渡りに船のタイミングでした。紙切れ1枚の申請書を提出するだけで済む、このシンガポール政府の仕組みには、多くの面で感心させられますし、私のみならず、多くの方々も救われていることがあるのではないかと感じています。

 

さて、就活の話ですが、実は自分も人材エージェントの端くれだったこともあり、1回目の転職は自力で入社までこぎ着けました。そうは言っても、多くの方々の助けを頂いたことは言うまでもありません。

 

2回目も自分なりの独自の活動もいたしましたが、最終的にはエージェントさんのお力を持って入社に至りました。私の様に年齢の壁(弱冠48才)と扶養家族3名というクリアーすべき高い壁がありますと、巷に溢れる若年層向けの案件ではとても対応できないというのが実情でした。時折しも年末、その後はチャイニーズニューイヤーと、就活には最悪のタイミング。中々案件が出てこない中でも、親身になって案件をあたっていただき、ご紹介をしていただいたエージェントさんがおられました。世の中のモードが逆転しているような中でも、スピード、タイミングを外さずにご尽力いただけるエージェントさんに出会えた事に深く感謝し、また、これから転職をされる方々には是非とも自分にあったエージェントさんと早く出会う様に努力をすることをお薦め致します。

 

これは新規採用をされる企業様にとっても同じことだと思いますが、各エージェントさんの規模や評判の善し悪しではなく、いかに自社とフィットしているかと言うことだと思います。エージェントさんによって業界、年齢層等様々な分野で得手不得手があるのは事実だと思います。

 

求職者も企業も、自らにフィットしていない鉄砲でいくら玉を打っても的中率が上がらないのは言わずもがなですよね。

最後に海外で仕事をする人材ということにについて、企業活動を含めてシンガポールで感じた想いを少しお話しさせていただきたい思います。

 

海外には「外国語」という道具だけを武器に就活をする輩が多数いるのも事実ですが、道具はもとより、企業の看板を外しても海外で生業を立てて行ける日本人人材が、ここシンガポールを始め多くの諸外国に居られるのも事実だと思います。一方で、大手企業が多大な経費と時間を使って「企業内グローバル人材」をいくら育てても、一歩社外に出れば、地を這いつくばってでも自分の目標に向かって努力している者には到底敵わない、と私の目には映っています。そうした中、日本人は疎か、目の色変えて向かってくるインド人や中国人に席巻される前に、看板外されても戦って行ける人材を育てなければならないと強く感じています。星の数ほどの日本企業が海外に進出し、仕組みも少しづつ変革している中で、未だに駐在員の制度は大きな変化が見られない。「既得権益」とは決別し、いずこの地でも、自らの努力で生業を立てられる力のある者が、しかるべき仕事をし、しかるべき評価・報酬をもらう。その仕組みが「グローバルに対応できる人材=看板外しても海外で太刀打ちできる人材」を排出してゆく礎になると思います。

 

元を正せば私も駐在員だったゆえ、その待遇の有難さを承知しておりますが、今では海外でローカル企業に身を投じた者として、日本人人材の真のグローバル化へ向けた日本企業の真のグローバルスタンダード化への取り組みを期して止みません。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.190(2011年06月06日発行)」に掲載されたものです。

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