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2012年6月18日

辞は達するのみ

Forte Real Estate Pte Ltd ダイレクター 新納美紀 業種:不動産

不動産会社のフォルテリアルエステート株式会社オーナー・ダイレクターとして、当地の不動産賃貸・売買の仲介業を営んでいます。また、弊社アソシエイト・エージェントはもちろん、新しくエージェント業を志す方の採用、教育、業務サポートなど人事面も担当しています。

不動産エージェントになるには

まず、あまり知られていないシンガポールの不動産業者資格制度についてご紹介したいと思います。

現在シンガポールには2万7,000人余のエージェント(salesperson)がおり、CEA(Council of estate agencies)という機関に登録しています。

新しくエージェントになるためには、CEA指定の不動産コースに必要時間参加し、RES(Real estate salesperson、もしくはREA)という試験に合格した後、CEAにエージェント登録を行い、受理後エージェントとして業務を開始します。

以前は不動産会社に入社すればすぐに業務が開始できましたが、この資格制度が導入されてからは、一人前に業務が行えるまで最短で半年程度かかります。その後も資格継続・知識のブラッシュアップのため、毎年所定の時間コースを受講することが義務付けられています。

試験の受験資格は、英語力が規定されたレベルに達していること(大卒資格などがあれば外国人でも可)、外国人の場合、シンガポールが許可した滞在ビザがあること(EP、DP、ワークホリデーパス、PR)などです。日本人のエージェントはまだまだ希少ですので、大手不動産会社やディベロッパーの就職にも有利です。弊社スタッフのように、不動産会社に入社後、会社がサポートし、エージェントを目指して受験するケースもあります。

これからシンガポールで就職活動をされる方にとっては、英語力を活かすことが可能で、固定給でない場合が多いので、頑張り次第で大幅な収入アップも可能な職種です。アソシエイト・エージェントになると毎日の出社義務がないので、PRの方は、子育てや家事に忙しい方も、自分で時間を決めて好きな時に働くことも可能です。

辞は達するのみ

採用される側から遠ざかって久しいですが、当地で面接させていただく機会や知人からの話の中で、最近違和感を持つことがしばしばあります。

優秀なキャリアと志を持って、時間とお金をかけて面接に来ているのに、面接ではレジュメをなぞっているだけ、というケースが多いように感じられます。どうしてもっと「自分」をアピールしないのだろう、会社情報や職種については人事担当者もその道のエキスパートなのだから、付け焼刃で語っても見抜かれてしまうのに、むしろその面接の場でもどんどん質問できるいい機会でもあるのに、と。当地では即戦力を探している企業がほとんどなので、限られた時間にどれだけ自分を表現できるかが、当然のことですが、とても重要だと思います。

まだまだシンガポールには日本より多くの求人があり、日本では体験できない責任のある仕事を任される機会も多々あります。応募者が多数いる日本の求人に比べ、面接官との距離もはるかに近いはずです。昨今労働ビザの取得基準も厳しくなりましたが、それでも取れる人は依然すんなり取れ、一度で取れない場合も、会社が必要とする人材には再申請するなど、第2、第3の道も残されています。

「辞は達するのみ」、言葉は相手に通じてこそ意味があり、思っているだけでは伝わりません。この場合、自分のアピールポイントをわかっているのは、他ならぬ自分なんですから。

不動産エージェントの立場からもうひとつ気になるのは、近年高騰している不動産市場の現地採用社員への影響です。私が現地採用社員として来星した2000年ごろも、現地採用社員は現在と同じく間借り(シェア)が主流でしたが、一部屋(1ベッドルーム)を借りる場合、コンドミニアムでも月S$600前後、HDBはS$500前後でした。 現在、現地採用で働く皆さんには大変なことかとお察しします。

賃料の高騰は不動産市場全体の価格上昇にけん引されたものであり、物価や給与も上がっているので、時代の流れとも言えるのかもしれません。

ぜひ思いを情熱という形にして、自分を表現し、多くの日本人の優秀な人材が、シンガポールで活躍されることを祈っています!

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.214(2012年06月18日発行)」に掲載されたものです。

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