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社説「島伝い」

2018年12月27日

新時代の幕開けを活用する

昨年の夏ごろからさまざまなところで「平成最後の」という表現を見かけますが、いよいよ今年の5月から元号が改まります。新元号の発表は4月1日以降とのこと。どのような元号になるのか楽しみでもあります。

 

40代以上の読者には、1989年に元号が「平成」になった時のことを覚えている方も多いでしょう。当時はインターネットの商用サービスもまだなく、ほとんどの国民は、1月7日早朝の昭和天皇崩御の知らせや、午後に行われた新元号の発表をテレビで見て、翌朝の新聞の日付が「平成元年1月8日」になっているのを確認したものでした。友人や知人との連絡は自宅の電話にかけて、電話口に出た家族の人に話をしたい相手へ取り次いでもらうのが当たり前。国際電話の料金もまだまだ高く、単なる近況報告であれば手紙を書いてエアメールで送っていました。

 

会社や学校、自宅など身近なところに必ずパソコンがあり、インターネットに常にアクセスできるのが当たり前、電話といえば携帯電話のことで、海外にいる家族や友達ともSkypeやLINE、FaceTimeなどスマートフォンから利用できる通話アプリでいつでも好きなだけ話せる、という現代と比べてみると、この30年で通信手段も本当に大きく変わったものです。

 

変わったのはもちろん通信手段だけでなく、さまざまな面で変化が起きており、しかもそのスピードはどんどん速くなっています。一見確固たるものに見えることでも、「今後変わるかもしれない」ではなく、もはや「間違いなく変わる」ものとして捉えておく必要がありそうです。

 

変化することを前提に対応していくのは、なかなか簡単ではなく、どのような手を打つべきかと日々頭を悩ませている方も多いでしょう。これまであまり考えたことがなかったような、少々思い切ったアイディアも、これからは積極的に試していくべきなのかもしれません。例えばシンガポールでは、日系企業に対応するのは日本人であるべきと長年考えられてきた面がありますが、就労ビザの発給基準厳格化で日本人を雇用することは難しくなっています。しかし、日本語でサービスを提供するためであれば、日本になら対応できる人材がたくさんいます。インターネットをフルに活用して、日本からサービスを提供する体制を整えることでも、十分に対応できるケースが実は相当ありそうです。

 

元号が変わる今年は、間違いなく新たな時代の幕開けとなるでしょう。それはまた、何か思い切った手を打って大きな変化を起こすには良いタイミングなのかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.341(2019年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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