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社説「島伝い」

2007年5月7日

旅もひと苦労!?

先日、日本へ一時帰国した際の出来事。お土産や飲み物、雑誌を手に提げ手荷物検査場へ向かったところ、どのゲートの前も長蛇の列。原因は、この3月1日から日本発の全ての国際線で始まった「機内持ち込み手荷物の制限」でした。

 
昨年8月10日にイギリスで起こった航空機爆破テロ未遂事件を受けて国際民間航空機関(ICAO)が定めたガイドラインに沿った措置で、安全水準をより高めることが目的です。日本、米、豪州、欧州連合(EU)に続き、ここシンガポールでも明日(5月8日)から導入されます。

 
持ち込みが制限されるのは、飲料をはじめ、化粧水、ジェル/ペースト類(整髪料、練り歯磨きなど)、エアゾール(噴霧剤)など。但し、預け入れ荷物には適用されません。

 
機内に持ち込めるのは容量が100ml.以下のもので、容量1ℓ以下のジッパーのついた再封可能な透明プラスチック製の袋に入れなければなりません。袋は1人につき1つまで。手荷物検査所で時間的に手間取り、フライトに影響を及ぼす場合、搭乗者に液体物の廃棄を求められることもあります。但し、出国手続き後のアルコール類、香水など免税品の購入は可能です。

 
今回の規制で懸念されるのが、機内での水分補給。機内の空気は乾燥しており、水分補給が十分かつタイムリーにできない場合、糖尿病などの持病を抱えている人はもちろんのこと、ロングフライト症候群などに陥る危険性も高まります。また、この乾燥状態での水分不足は女性の肌にとっても大敵。今回の規制により、日ごろ使い慣れた化粧品類が機内に持込めないなど、今までは考えられなかったような不都合も生じてきます。機内を職場として働く客室乗務員の方にとっては更に深刻なのではないでしょうか。

 
手荷物検査も今まで以上に時間がかかることが予想されるので、これまでよりも早めに空港に到着するよう考慮が必要です。

 
いずれにしても楽しいはずの旅も、旅支度の手間が増えることや、手荷物検査場での長い待ち行列に並ぶことなどを考えると、これからはひと苦労となりそうです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.097(2007年05月07日発行)」に掲載されたものです。

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