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社説「島伝い」

2007年9月17日

危機を好機に変えられるか?

昨年9月に自民党総裁選で総裁に選出されて約1年経った9月12日、安倍首相が突然辞任を表明しました。政治とカネの問題や失言問題で相次いだ閣僚辞任、年金記録漏れの問題、7月末の参院選の大敗…発足後下落する一方だった内閣への国民の支持を回復することはついになりませんでした。このニュースは直ちに海外にも伝えられ、各国から相次いでコメントが発表されました。

 
今回の退陣については、安倍首相の責任を厳しく問うコメントから、小泉政権の残した負の遺産をたまたま安倍氏が被ってしまったとする見方まで、憶測も含めて様々な見解が出ています。確かに、安倍首相が責任を問われなければならない部分もあり、記者会見でのコメントだけでは説明が不十分な点もあります。しかし、安倍首相を取り巻く環境は、首相の示した方向性を実現するために本当に一致団結していたと言えるのでしょうか。政党、内閣、国会、行政府、そして国民の姿勢には、日本の悪い面が出ていたような気がしてなりません。

 
日本という国を会社組織になぞらえて、自社の社長が今回のような形で退陣したとしたら――そう考えると、どれだけ異常な事態なのかがよりリアルに感じられます。逆に、この例えでリアルさを感じるのは、日本の政治をどこか他人事として見てきたということなのかもしれません。

 
安倍首相の突然の辞任は政治的混乱を起こしており、日本という国が危機的状態に陥っているのは明白です。しかし、これは、日本の政治を変える大きなチャンスともいえるのではないでしょうか。安倍首相辞任のニュースは、普段政治になどまるで関心を示さないような層をも振り向かせるに十分な破壊力を持っていました。日本という国が良い方向に向かうために国民をまとめ上げるには、これはまたとないチャンスなのではないでしょうか。現状の自民党総裁=日本の首相という図式が成り立つシステムの良し悪しについてはここでは論じませんが、自分の属する政党や派閥の利害ではなく、日本という国の利害のためにプロのリーダーシップを発揮できる人材が首相となることを願うばかりです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.106(2007年09月17日発行)」に掲載されたものです。

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