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社説「島伝い」

2009年3月16日

ものは考えよう

先月半ばあたりから、シンガポールではスコールがよく降っています。午後遅い時間に急に空がどんよりとして、突然激しい雨が降り始め、時に雷を伴うあたりはまさに雨季真っ只中のよう。かつては11月から12月頃にスコールが多く、乾季との境目もはっきりしていたのですが、最近はかなり曖昧になってきました。地球温暖化現象のひとつなのかもしれません。

 
先月27日もシティエリアでは午後3時ごろから激しい雷雨となりましたが、その日はシンガポールの象徴であるマーライオンの頭部に雷が直撃し、大きなニュースとなりました。

 
マーライオンはかつて現在の場所よりも120mほど内側、ボート・キーから見てエスプラネード橋よりも手前にありました。マリーナ地区の開発が進み、2002年4月に現在の場所へ移転。巨大クレーンで高さ8.6メートル、重さ40トンのマーライオンが吊り上げられ、エスプラネード橋を越え、はしけで現在の位置へ移動という、3日がかりの作業でした。

 
移転先では、風水師のアドバイスで一番良いとされた東向きにと現在のように配置されたそうです。

 
マーライオンへの落雷について、「これから悪いことが起きる前兆だ」といったことも囁かれているようですが、高層ビルが立ち並ぶシェントンウェイに近いこの場所で雷の直撃を受け、しかも一部が欠けただけで済んだのですから、昨今の世界的な不況に見舞われながらも潰されないだけの地力をシンガポールという国が持っていることを象徴している、と捉えることもできるのではないでしょうか。

 
人間は感情の動物、とよく言われますが、マイナス思考ではあらゆることが悪く見えてしまいます。しかし、同じことをプラス思考で見れば、それほど状況は悪くなかったりするものです。

 
この一件で驚いたのは、シンガポール政府観光局の対応の早さ。落雷の翌日にはマーライオンの周りに足場が組まれ、シートに覆われていました。

 
日本ではお家騒動続きで政治不信が広がる一方ですが、この迅速な対応ぶりを見習ってほしいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.141(2009年03月16日発行)」に掲載されたものです。

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