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社説「島伝い」

2009年11月16日

回復の兆し

今年はオーチャード・ロードのクリスマス・セールが例年より早く11月7日から始まりました。10月下旬にはライトアップの飾り付けが早々に始まり、驚く声もあったようです。

 
暖かい南国で、短パンにビーチサンダルのいでたちでサンタクロースやクリスマスツリーを眺めることには初めこそ違和感がありますが、長くシンガポールで生活していると、クリスマスのライトアップは年の瀬が近付いたことを知らせる合図のようなものになります。本来はキリスト教の行事であるクリスマスですが、シンガポールでは日本同様に宗教的にあまり関係ない人たちもイベントとして楽しんでいます。

 
シンガポールがバブル景気を謳歌していた90年代半ば、日本からの買い物目当ての観光客もたくさん訪れていた頃は、クリスマスのライトアップも近年よりずっと派手だったことが印象に残っています。飾り付けコンテストに参加している商業ビルの正面は1階から最上階まで壁面がほとんど見えないほど飾り立てられ、どのビルも他に負けまいと力を入れていました。 アジア通貨危機以降、アメリカの同時多発テロ、SARS、周辺国での鳥インフルエンザ流行など観光客の足が遠のく出来事が断続的に起きた2000年代は、コンテスト中止の影響もあってか、ひと頃よりはライトアップも控え目になったようでした。今年は各商業ビルによる飾り付けコンテストが8年ぶりに復活することもあり、クリスマスの飾り付けに華やかさが増すのではと期待されています。コンテストの再開は、「100年に一度の危機」と言われていた状況がひと段落し、シンガポール経済が少しずつ上向き始めたことの表れなのかもしれません。

 
来年は、カジノ総合リゾート、ユニバーサルスタジオのオープンなど、シンガポールはまた新たな局面を迎えようとしています。悪い流れが少しずつ良くなっている今、良い流れが自分に来るのを待つだけでなく、積極的に捉えに行くことで新しい波に乗り遅れないようにすることが、来年への一歩につながるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.157(2009年11月16日発行)」に掲載されたものです。

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