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表紙の人

Vol.359

2020年6月23日

田中 琢哉さん

三菱UFJ銀行 執行役員

三菱UFJ銀行 執行役員
シンガポール支店長 兼 アジア法人営業統括部長

 京都府出身。京都大学経済学部卒業。「世界を舞台に幅広い業界との取引で視野を広げ、次世代を支える産業を支援したい」との思いから都市銀行を志望、三和銀行へ入行。梅田新道支店、審査部を経て東京転勤、米国不動産プロジェクト案件の再生チームに加わる。米国側との協議は、時差の関係から深夜まで苛烈を極め、異なる価値観・文化的背景を持つ相手との「合意形成の難しさ」と「相手を知ることの大切さ」を痛感したという。経営企画部では、二度の経営統合も経験。30代半ばで同期が500人から一気に1,000人超に。「規模は強みになる」と信じ、社風の違いも相互理解・強みの発揮のための貴重な経験と捉え、「相手を知る」ことに努めた。
 
 2019年5月来星。三菱UFJ銀行シンガポール支店は、18ヵ国から人材1,400名が集まる多民族・多文化コミュニティ。価値観や視点、仕事の進め方、主張の強さまで多様なこの職場でも、大切なことは「まずはよく聞く」こと。そして、自分を語ることも重要。納得するまで繰り返し伝え、質問には丁寧に答える。奇手妙手はない。「新たな仲間を知る」という基本動作を通じて組織を目指す方向へ導く。
 
 現場と向き合う心構えは「人を知ることで、自分を知る。人に興味を持ち、敬意を払う。多様な文化が触れ合うシンガポールでは、“違い”が存在することを所与として、相手を理解しようと努める謙虚な姿勢が求められるように思います」と語る。シンガポールは国家間・都市間での関係構築、国連やASEAN等国際機関の活用等、外に開かれたネットワークを志向する価値観が浸透しており、ポスト・コロナでも域内連携を維持・強化すると見ている。
 
 コロナ禍の今、「当地においても、人と人とのつながりを守り、多様性を尊重し、地球環境に配慮した持続可能な社会の実現に事業を通じて取り組むことが、企業人に課せられた使命だと思います」。細やかな心遣いを大切にする田中氏の言葉は、ウィズ・コロナを向かえる今だからこそ心に留めておきたいメッセージとなっていた。

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