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表紙の人

Vol.348

2019年7月25日

レイチェル・チャン さん

AIC Singapore Pte Ltd. PR&Strategy Executive

 シンガポール生まれ。一人っ子で、本を読むのが大好きだった。当時のシンガポールは高度成長期の真っただ中。国中が建設ラッシュに沸き、新しい建物が次々に軒を連ねた。あっという間に様変わりする街並みを、父が運転する車のラジオから流れるビージーズやクラプトン、シンディー・ローパーなどの洋楽を聞きながら眺めていたことをよく思い出す。

 

 シンガポール国立大学在学中はコミュニケーションとニューメディアを専攻、日本語についても学んだ。これまで学んできた日本語がどれだけ通用するのか試したいと思い、3年時に4ヵ月間、交換留学生制度で東京外国語大学に留学した。その後は広報とPRの専門知識を武器に各社ブランドの確立に邁進。オルビスは担当して2年になる。 兼ねてから興味のあった化粧品&スキンケア分野、かつ、日本のメーカーを選んだのは、確かな商品で勝負ができると思ったから。かつて学んだ日本語を生かせるのが嬉しいとほほ笑む。

 

 日本の製品を世に広める任務にやりがいを感じる日々。広告の父、デビット・オグルヴィ氏の「Encourage Innovation. Change is our lifeblood, stagnation our death knell (創造せよ。変化は活力。停滞は死を告げる鐘)」の教えに習い、現状に満足することなく常に改善改良をしていきたいと語る。大事なことは、顧客に耳を傾けること。ユニークなアイデアを思いつくとすぐに実践したくなるが、まずは顧客第一。本当に必要かどうか一度立ち止まってよく考えることが大切だと経験から悟った。それには「データ」が欠かせない。「どう見て、使うか。顧客の嗜好やパターンを見極めることができれ ば、必ず成功につながる」といかにマーケティングが重要かを説く。「他社との差別化を常に頭において、目につくマーケティングとPRをイノベートすることがとても大事。それをやって初めてユニークさが生きてくる」。

 

 高校時代に傾倒した美術。今でもアートに対する興味が尽きず、時間を見つけては 美術館へ足を運ぶ。座右の銘はミケランジェロの「I am still learning(私は今も学び続けている)」。80歳になってもなお学ぼうという精神は、成功したいと考える誰もに通じること。まずは手掛けるブランド「ORBIS」を広く皆に知ってもらいたい――マーケターの飽くなき挑戦は続く。

 

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