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会計・税務相談

2025年5月15日

Q.シンガポールにおける配偶者および子どもの扶養控除について

Q. シンガポールでは、どのような場合に配偶者控除が適用されますか。

A. 配偶者控除は、課税年度に、納税者が以下の2つの要件を全て満たす配偶者を扶養していた場合に適用されます。
 
 ①課税年度に納税者と同居または納税者に生計を支えられていた
 ②課税年度の所得が8,000Sドル以下(2025賦課年度より)(2024賦課年度までは4,000Sドル以下)であった
 
被扶養者の所得は、被扶養者がシンガポールで得た課税対象となる所得(事業所得、雇用所得、賃貸所得など)だけでなく、シンガポールで免税または非課税扱いとされる所得(所定の利子、配当、CPFを除く年金)や、シンガポール国外で得た所得も含めた上で、上記の限度額以下でなければなりません。これは、後述する子どもの扶養控除にも適用されます。
 

Q. 配偶者控除が認められる場合、何ドル控除されますか。

A. 上記の要件を満たす配偶者を扶養する場合、納税者の所得から2,000Sドルが控除されます。
配偶者に身体的または精神的な障害があり、日常生活に困難を伴うと医師が証明した場合は、5,500Sドルが控除されます。
 
なお、配偶者に障害がある場合、配偶者控除の要件のうち、②の所得制限の要件は適用されません。
 

Q. 別居中や離婚した配偶者に生活費を支払った場合、配偶者控除は適用されますか。

A. 法的別居中に裁判所命令または別居証書に基づき配偶者に生活費を支払った場合、支払実費または上述の配偶者控除のいずれか低い方の金額が配偶者控除として適用されます。離婚した元配偶者への生活費の支払いに関しては、配偶者控除は適用されません。
 

Q. 子どもの扶養控除については、どのような要件がありますか。

A. 子どもの扶養控除は、課税対象年度に、納税者が以下の3つの要件を全て満たす子供を扶養していた場合に適用されます。
 
 ①課税年度を通して未婚であった
 ②課税年度の1月1日において16歳未満であった、または16歳以上で課税年度の何れかの期間に高校・大学などの全日制の教育機関に在学中であった
 ③課税年度の所得が8,000Sドル以下(2025賦課年度より)(2024賦課年度までは4,000Sドル以下)であった
 
 当然ですが、対象となる子どもは実子だけでなく、継子および養子も含みます。
 

Q. 子どもの扶養控除が認められる場合、何ドル控除されますか。

A. 上記の要件を満たす子どもを扶養する場合、子ども1人につき納税者の所得から4,000Sドルが控除されます。子どもに身体的または精神的な障害があり、日常生活に困難が伴うと医師が証明した場合、或るいは特別支援学校に通学中または医師により入学を勧められた場合は、7,500Sドルが控除されます。また、子どもに障害がある場合、扶養控除の要件のうち、②の年齢制限に関する要件と③の所得制限に関する要件は適用されず、子どもが未婚で医師による証明があれば、扶養控除が適用されます。
 
両親が共働きや離婚している場合、協議の上、子どもの扶養控除を分割することも可能です。
 

Q. ワーキングマザーに適用される子どもの扶養控除があると聞きましたが、どのような制度ですか。

A. 上述の一般の子ども扶養控除(QCR)とは別に、課税対象年度の12月31日においてシンガポール国籍である子どもを扶養するワーキングマザー(未婚の母を除く)には、追加のワーキングマザー扶養控除(WMCR)が適用されます。WMCRの金額は、子どもの出生順位によって異なり、かつ2023年の法改正により、子どもが2023年12月31日までに出生したか、2024年1月1日以後に出生したかによっても異なります。
 

 
なお、2023年12月31日までに出生した子どもについて、ワーキングマザーに適用される子どもの扶養控除は、QCRとWMCRを合わせて、子ども1人につき1賦課年度5万Sドルが上限とされています。また、納税者1人に適用される所得控除は、全ての所得控除を合計して1賦課年度8万Sドルが上限とされています。
 

著:Tricor Singapore Pte Ltd 斯波澄子

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